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Disc Review

On Earth, and in Heaven / Robin Thicke (Lucky Music/EMPIRE)

オン・アース、アンド・イン・ヘヴン/ロビン・シック

なんか、すっかりごぶさただったというか。

2013年に放った例の特大ヒット「ブラード・ラインズ」がマーヴィ・ゲイの「黒い夜」のパクリじゃねーかという件でマーヴィンの遺族に訴えられて、700万ドルだか800万ドルだか持って行かれたことでおなじみ(笑)、ロビン・シック。あの曲を巡ってはマイリー・サイラスとのVMAにおける過激パフォーマンスでも大不評を買って。ヒットしたはいいけど、そのぶん大損もした感じだったなぁ。

マイリーとのお下劣パフォーマンスが奥さまの怒りも買い離婚訴訟まで起こされて。ロビン・シックは奥さまの名前をタイトルに冠したアルバム『ポーラ』を2014年にリリースして公開謝罪したものの、必死の弁明も奥さまからは受け入れてもらえず、しかもファンからも呆れられたか、まったく売れずじまい。

以来、シングルのリリースとかはちょこちょこ挟まれていたものの、フル・アルバムは基本的にごぶさただったから、7年ぶり? なんだかんだあったとはいえ、2006年にあの大出世作『イヴォリューション・オブ・ロビン・シック〜ロビン・シックの進化論』を初めて聞いたときのうれしい盛り上がりとか忘れられない身としては、大歓迎。しかも、わりと初期、「ブラード・ラインズ」以前の、あまり押しつけがましくない、楽曲に対するクールなアプローチが戻ってきた感触もあって。ちょっとうれしい。

父アランや、アップタウン・レコードのアンドレ・ハレルら、現在の自分を作り上げてくれた今は亡き人たちに捧げられたアルバムだとか。ただ、例のマーヴィン・ゲイの一件が引っかかっているのか、あるいは単に年齢を重ねて落ち着いてきたからか、理由はわからないものの、これまでのような、いわゆる“ブルー・アイド・ソウル”風味の含有度はそれほど高くない感じ。

ソウルフルなセンスはしっかり発揮されているけれど、でも、基本的な路線としてはラテン風味、ボサノヴァ風味、ジャズ風味の含有率のほうが高いかも。かつてはブルー・アイド・ソウル的なアプローチの下で洗練されたコード感とかグルーヴとかを発揮していたロビン・シックだけど、今回はラテンっぽいテイストの下で彼ならではのちょっとジャジーなコード感や歌心を解き放っている感じ。

オープニングを飾る「ラッキー・スター」から、いきなりいい塩梅のボサ・ポップ。ベース・ラインに軽めのファンク・テイストも漂う次曲「オラ」も、タイトルもスパニッシュっぽいし、基本グルーヴはサンバって感じだし。次の「ローラ・ミア」もサルサっぽいホーン・リフが絡むマイナー・ラテン調。「アウト・オヴ・マイ・マインド」ってのもとても素敵なボサ・ポップだ。

もちろん、ソウル風味のものもちゃんと入っていて。2019年にシングルとしてリリースされて話題になった「ザッツ・ホワット・ラヴ・キャン・ドゥ」とか、去年出た「フォーエヴァー・マイン」のような、必殺スウィート・ソウル・バラードも入っている。フラミンゴスばりの“シバシバッ”ってコーラス入りの先行公開ナンバー「ビューティフル」もその路線。

本来的な意味で“おかえりなさい”的な1枚。フィジカルの発売はまだちょい先。今月末から来月アタマって感じみたい。今のところストリーミング/ダウンロード販売のみ。ヴァイナルは5月だとのこと。いずれにせよ、特大ヒットはもういらないだろうから、これからはまたこの感じで着実にお願いしたいところです。

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