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Disc Review

The Power of the One / Bootsy Collins (Bootzilla Records/Sweetwater Sounds)

ザ・パワー・オヴ・ザ・ワン/ブーツィ・コリンズ

あのプリンスだって、面と向かってのタイマンだったら、この男には絶対かなわない。ブーツィ・コリンズ。

今さら説明の必要もないだろうけど。ジェイムス・ブラウン、ジョージ・クリントンらと並ぶファンク・シーンの最重要人物のひとりだ。大親分、ジェイムス・ブラウンのバック・バンドにベーシストとして参加したのがちょうど半世紀、50年前。それをきっかけに注目を集め、続いてファンク大統領、ジョージ・クリントン傘下のファンカデリックに加入。日々ぶびょぶびょのファンク道を邁進したのち、一本立ちして自らのバンド、ブーツィーズ・ラバー・バンドを結成…。

その野太くグルーヴするベース・プレイや歌声の魅力にハマったら最後、彼独自のハイパー・ファンクの世界から逃れられなくなる。とんでもなく派手なファッション・センスも含め、いや、もう、まじ、こんな男、他にはいない。絶対に。

そんなブーツィ、2017年の『ワールド・ワイド・ファンク』以来となる新作が出た。『ワールド・ワイド・ファンク』はスタンリー・クラーク、チャック・D、ビッグ・ダディ・ケイン、ダグ・E・フレッシュ、エリック・ゲイルズ、デニス・チェンバーズ、バーニー・ウォーレルなど多彩なゲストをフィーチャーした豪華な1枚だったけれど、今回も同趣向。

ギタリストだけに目を向けても、超ベテランのジョージ・ベンソンから若き注目株のブランドン“タズ” ニードラウアーやクリストーン“キングフィッシュ”イングラムまで、実に幅広い世代のゲストを迎えている。他にもクリスチャン・マクブライド、ブランフォード・マルサリス、ラリー・グレアム、スヌープ・ドッグ、スティーヴ・ジョーダン、バーナード・パーディ、そしてなんとベラ・フレックまで、参加した顔ぶれは超バラエティ豊か。前作に比べるとラッパー系が減って、ジャズ畑も含む演奏家系のゲストがぐっと増えた感じか。

とはいえ、当然ながら、このコロナ禍にあってレコーディングも中断を余儀なくされ。ロックダウン前はインディアナ州フォート・ウェインのスウィートウォーター・スタジオで作業していたものの、ロックダウン以降はオハイオ州シンシナティにある自身のスタジオ、ブート・ケイヴ・スタジオを拠点にしたリモート・レコーディングへ。

でも、そこはブーツィ。誰もが孤独に引き離されるしかなかった日々において、しかし、この試練を思いきり前向きにとらえた。人はひとりひとりじゃ何もできない、お互い他者が絶対に必要だ、それこそがワン・ネイション・アンダー・ザ・グルーヴだ、と。力強いメッセージを改めて確信。リモートで多彩なゲストと積極的に繋がり、残る楽器をほぼひとりで全部こなしながら、“ザ・ワン”というコンセプトを新たに全面に打ち出したアルバムを見事作り上げてみせたのだった。

“ザ・ワン”というのは音楽を超えたコンセプトだ。俺たちがひとつだということ。俺たちが平等だということ。俺たちはともに音楽を作り、新たなものを発明する。俺たちは互いの違いを越えて、この地球というマザーシップに乗り合わせている。そういう思いの下に集えば、俺たちは何だってできる。それが“パワー・オヴ・ザ・ワン”なんだ。

みたいなことをブーツィはインタビューで答えていたけれど。この、なんとも楽観的なお気楽さも含めて、この人のファンクは正義なのだった。ブーツィというとてつもなく雄大かつ柔軟な個性の下、ファンクがジャズやメタルやヒップホップと有機的に接続していくこの感触。たまりません。御年69歳のファンク・マスター。まだまだイケます。

アルバム・タイトル・チューンでのジョージ・ベンソンとのコラボが思いの外、いい感じに絡み合いながらグルーヴしていて、痛快。スライ&ザ・ファミリー・ストーンの「イフ・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ステイ」をカヴァーした「ウォントミー2ステイ」で、スライのオリジナル・ヴァージョンが録音される直前にバンドをやめちゃったラリー・グレアムとベース饗宴しているのとかもごきげん。

あと、同じJBスクール卒業生のクリスチャン・マクブライドが参戦した「ファンクシップ・エリア51」って曲とか。明らかにフレッド・ウェズリーの影響を強くたたえたトロンボーンがいい仕事していたり。バーニー・ウォーレルっぽいキーボードが舞っていたり。やっぱJB〜Pファンクは永遠だな、と。再確認しました。

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© 2020 Kenta Hagiwara