Disc Review

White Chocolate / Al Kooper (Sony)

ホワイト・チョコレート/アル・クーパー

そういえば、ニューヨーク行きのごたごたで、これ紹介し忘れてました。『ストリーム』では発売日前後にかけさせてもらったんだけど。アル・クーパー、3年ぶりの新作。前作が『ブラック・コーヒー』で、今作が『ホワイト・チョコレート』。自分なりのブルー・アイド・ソウル感覚を表現したタイトルなんだろうな、と。

スティーヴ・クロッパー、ダック・ダン、アップタウン・ホーンズらがバックアップ。ジェリー・ゴフィンとの共作曲も2曲。ボブ・ディランの「悲しみは果てしなく」やオーティス・レディングの「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ワーズ・キャン・セイ」、映画『バグダッド・カフェ』の「コーリング・ユー」などのアイデア豊かなカヴァーもあり。さらにスタックスR&Bに対する敬意と愛情をストレートに炸裂させた「スタックサビリティ」なんて曲もあって。盛り上がる。

この人の最大の弱点であるヴォーカルの弱さは今回も相変わらずだけれど。これで40年やってきたわけで。文句なし。ここまできたら、ぼくごときが何をどうこう言おうが、間違いなく“味”です。モーズ・アリソンの境地っすね。

以前インタビューした際、「俺が死んだら、こういう音楽はなくなるんだ。継承なんかされない」とシニカルに語っていた。確かに。どんどん音楽が細分化されて、個人的になってきている今、これだけ雄大な幅をたたえたアル・クーパーの音楽性全体を正統に継承することなど不可能なのかも。大事に聞きましょう。来春にはまた来日するみたいだし。

本国アメリカではインディーズでのリリース。アル・クーパーのWEBサイトではデモ・トラック7曲付きの盤も売ってます。ぼくもそれ買いました。まだ届いてませんが(笑)。

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