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Disc Review

24 Hours / Tom Jones (S-Curve)

24アワーズ/トム・ジョーンズ

1970年だったかな。ぼくが中学生だったころ、確か12チャンネルでやっていた『トム・ジョーンズ・ショー』が大好きで。毎週楽しみにしていた。番組の公式ファン・クラブみたいなやつもあって。入ってました(笑)。入ると、毎月オンエア予定の内容を記したパンフレットみたいなのがもらえて。多彩なゲストを事前にチェックできた。ホーム・ビデオなんか夢のまた夢みたいな時代だったから。毎回、音だけぼろっちいカセットに録音して楽しんでいたっけ。

ほんと、ゲストがすごかった。ジャニス・ジョプリン、メアリー・ホプキン、ムーディ・ブルース、ジョー・コッカー、ザ・フー、リトル・リチャード、CCR、スティーヴィ・ワンダー、アレサ・フランクリン、ジョニー・キャッシュ、サミー・デイヴィス・ジュニア、シャルル・アズナブールなどなど。ビデオ・クリップなんかなくて、洋楽雑誌のグラビアを眺めてはその静止画を脳内でぐわ~っと動かす…みたいなことをがんばってやっていたあの時代に、ずいぶんといろんなアーティストの動くお姿を見せてもらった。

もちろんゲストばかりでなく。トム・ジョーンズのすごさは毎回思い知ったものだ。ジャニスとのデュエットとか、アレサとのデュエットとか、今でも忘れられない。サム&デイヴのサム・ムーアが「今もっともファンキーな歌手はトム・ジョーンズだ」と語ったというエピソードが、そのファン・クラブの会報に載ってたのを覚えてるけど。納得です。この人、持ち前のダイナマイトな歌声でR&Bも、カントリーも、ロックンロールも、バカラック・ナンバーも、ミュージカル曲も、ジャズ・スタンダードも、何でもかんでも歌いまくるから。おかげで聞く側であるぼくもずいぶんと幅広い楽曲に接することができた。リスナーとして育ててもらいました。恩人です。

さて、そんなミスター・ダイナマイトの新作。80年代末以降、また復活してイギリスの若いミュージシャンたちとの交流の中で活発な活動をするようになったけれど。今回も、リリー・アレンでいい仕事を聞かせたフューチャー・カットをプロデューサーに迎えて、適度なハイパー感とオーガニック感が交錯するサウンドをバックに、衰えを知らぬ爆発的なノドを聞かせまくる。ブルース・スプリングスティーンの近作をスタックス調のR&Bバラード・アレンジでドラマチックにカヴァーした「ザ・ヒッター」とか、ボノとエッジがゲスト参加したファンキーな「シュガー・ダディ」あたりに注目が集まっているようだけど、往年の「よくあることさ」的な軽い洗練を取り込んだ「イフ・ヒー・シュッド・エヴァー・リーヴ・ユー」とか「ウィ・ガット・ラヴ」あたりが特にお気に入り。

今でも年間200本以上ライヴやってるんだって。すげえなぁ。

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© 2020 Kenta Hagiwara