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Disc Review

Cast A Long Shadow / Little Richard (Floating World/BSMF)

キャスト・ア・ロング・シャドウ/リトル・リチャード

パソコンでご覧の方は右のサイドバー、スマホでご覧の方は下のインフォメーションパートに掲載している『CRT&レココレ』イベントのお知らせ。昨夜、更新させていただきました。

先月、手探り状態でとりあえずトライしてみた“無観客・有料配信”によるリモートCRT。なにせ初めての試みだったもので、いろいろと思うようにできなかったことも多く、参加してくださったみなさんにご迷惑、ご心配をおかけしました。が、みなさんのあたたかい感想や応援に気をよくして、第二弾を敢行することになりました。

詳しくはサイドバーあるいは下方のインフォを参照してください。今回のタイトルは『アイ・ラヴ・ロックンロール! ベスト・オブ・ロックンロール 1961-1989』。7月15日に発売される『レコード・コレクターズ』最新8月号の第一特集に合わせたテーマです。レココレではこのコロナ禍の中、亡くなったアラン・メリルを悼んで彼の代表曲「アイ・ラヴ・ロックンロール」の名の下、1961年以降にデビューした“ロックンロール第二世代"を大特集。

その特集中に、萩原、祢屋、能地のCRTレギュラー出演者3人も選曲/解説に絡ませていただいた必聴曲リスト全203曲ってのがあって。その辺を各自眺めつつ、リモート&手酌で大いに盛り上がろうではありませんか、と。そういう夜です。ちょっとだけいつもと形は違いますが、CRTが毎年“海の日”にお届けしてきた恒例オールディーズまつりのリモート・ヴァージョンです。

視聴チケットは https://crt248.peatix.com/ で。7月23日20時までの販売です。アーカイブ期間は3日間。こぞってのご参加、お待ちしています。

で、今回の『レココレ』のロックンロール第二世代特集。前述、必聴の203曲リストのほか、ぼくが執筆させていただいた「ロックンロール誕生史」とか、和久井光司さんによる「英米“ロックンロール第二世代"研究」とか、小出斉さんによる「追悼 リトル・リチャード」とかも掲載されていて。

そこに乗っかって、間もなく、CRTの前日、7月22日に日本で再発されるリトル・リチャード関連の盤をひとつ先行でご紹介しておきましょう。それが『キャスト・ア・ロング・シャドウ』。

1950年代にスペシャルティ・レコードで黄金時代を築いたあと、突如リチャードは神学の道へ。その後7年のブランクを経てシーンに復帰し、マーキュリー、ヴィージェイ、モダーンなど様々なレーベルで再びレコーディングするようになったのだけれど。そのほとんどがスペシャルティ時代のレパートリーの再録音。フルスロットルで疾走するようなリチャードの魅力は、全盛期の輝きを取り戻せずじまいだった。

が、そんな復帰後のリチャードが珍しくのびのびと躍動してみせたのが、1967年、オーケー・レコードから出したアルバム『ジ・エクスプローシヴ・リトル・リチャード!』。スペシャルティ・ロックンロール仲間のラリー・ウィリアムスがプロデュース。ジョニー“ギター”ワトソン、エディ・フレッチャーら腕利きがバックアップ。アトランティック、モータウンなど、当時の最新R&Bサウンドの要素も積極的に取り込み、興味深いカヴァーなども交えながら、太く、ソウルフルなシャウトを連発するリトル・リチャードの姿が記録されていた。

かなりかっこいい仕上がりだとぼくは思うのだけれど。リチャード本人は不満だったようで。後年、自伝本でこのアルバムのことを回想しながら、モータウンっぽいアプローチを強要するラリー・ウィリアムスのプロデュース・ワークについてボロクソに罵倒していたっけ。その辺のギクシャクぶりがリスナーにも伝わってしまったか、本国アメリカではラリー・ウィリアムスやジョニー“ギター”ワトソンが曲作りに絡んだ「プア・ドッグ」や「コマンドメンツ・オヴ・ラヴ」がR&Bチャートで小ヒットした程度で、あまり好セールスを上げられずじまい。

まあ、ヨーロッパではそれなりにこの新たな方向性も高く評価されたらしいが、結局リチャードはオーケー・レコードと決裂。もう1枚だけ、急遽、ハリウッドのCBSスタジオに観客を入れて、結局スペシャルティ時代の代表曲を中心に、ジェリー・リー・ルイスやジミー・リード、ウィルソン・ピケットらのカヴァーも交えて録音したライヴ・アルバム『リトル・リチャーズ・グレイテスト・ヒッツ〜レコーデッド・ライヴ!』をリリースしてオーケーを離脱した。

このライヴ盤、ホーン・セクションを大胆に導入して、がんがんメドレー気味に次々と代表曲をたたみかけてきて。けっこう新鮮に楽しめる。ぐいぐい躍動するMCもごきげん。ご本人はやはりこのライヴも全然気に入っていないと後年話していたけれど、レーベルとのごたごたゆえの感想っぽいところもある。実際どうだったのか、その辺の本音は謎のままだ。少なくともぼくは、かなりいかしてると思うけどなぁ…。

で、そんなふうに短期間ではあったとはいえ在籍したR&Bの名門、オーケー・レコードにリチャードが残したこの2作を合体させて、1971年、エピック・レコードが編纂/再構成したアナログLP2枚組が『キャスト・ア・ロング・シャドウ』で。2017年にそれを英フローティング・ワールドが2イン1CD化。今回、7月22日に日本で出ることになっているのはそのCDだ。実際のリリース順をひっくり返して、最初に代表曲連発のライヴ音源、後半にラリー・ウィリアムスのプロデュースによるスタジオ録音が並んでいる。

本人の思いはともあれ、リトル・リチャードという偉大なR&Bシャウターが1960年代に入ってからもどれほどパワフルで、かつ柔軟な存在だったかを思い知らせてくれる音源集。どんな環境でもパワー全開! というのがこの人のすごいところなので、本人が何を語っていようが、こちらは1967年時点でのリトル・リチャードの本気をまるごと受け止めましょう。

エッセンシャルなコレクションではないかもしれないけれど、リチャードの雄大さを再確認するためには絶好の1枚だ。

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