シャウト・シスター・シャウト〜ミュージカル・トリビュート・トゥ・ザ・ボズウェル・シスターズ/ザ・ヘンリー・ガールズ
アイルランドの最北端、イ二シュオーエン半島出身。カレンとローナとジョリーンのマクローリン姉妹による“ザ・ヘンリー・ガールズ”は、トラディショナルなアイリッシュ・フォークを基調に、アメリカン・カントリーとかラテンとかレゲエとか、多彩な音楽性にひょうひょうとアプローチし続けるグループだ。アイリッシュ・フォーク・ミーツ・アメリカーナ、などと形容されたりもする三姉妹。
姉妹それぞれ様々な楽器を操る才女たちだ。アルバム・デビューは2003年だから、もうそこそこのキャリア。デビュー前、同郷のメアリー・ブラックのアルバムで披露したバックアップ・ヴォーカルのことを覚えていらっしゃる方もいるかも。
と、そんな彼女たちの新作は女性ジャズ・コーラス・グループの草分け、ボズウェル・シスターズへのトリビュート盤だ。去年、2019年にアイルランド各地で行なわれたアート・フェスティヴァルやジャズ・フェスティヴァルで披露された一連のコンサートの模様を記録した1枚。これは意外というか。いいとこ突いてきたというか。ガール・グループの先駆けであり、姉妹グループの大先輩でもあるボズウェル姉妹がレパートリーに採り入れていた1920年代、30年代の名曲群を、ヘンリー・ガールズならではの透明感あふれるハーモニーで聞かせてくれる。
ボズウェル・シスターズといえば、主メロに対して上下にひとつずつハーモニーを付ける、いわゆる3声クローズ・ハーモニーの使い手で。それをヘンリー・ガールズなりに見事に継承。ジョリーンが弾くピアノに加え、ギター、ウッドベース、ドラム、トランペット、テナー・サックス、トロンボーン、クラリネットというディキシーっぽい編成で的確にバックアップしている。ニューオーリンズ出身で、その後ロサンゼルスからニューヨークへと本拠を移しつつ、ジャズの枠を超えた柔軟な活動に積極的に取り組み続けたボズウェル姉妹のスウィンギーな音楽性への敬愛に満ちたパフォーマンスだ。好感度たっぷり。
てことで、今朝はあれこれ原稿に追われていて全然時間がないもんで、このくらい雑な(笑)紹介で終わらせていただきますが。とにかく楽しく、麗しく、爽やかな1枚。選曲もよき!