Disc Review

Gypsy / Eilen Jewell (Signature Sounds)

ジプシー/イーリン・ジュエル

2017年、多彩なアイディアを駆使しつつブルースのカヴァーに挑んだアルバム『ダウン・ハーテッド・ブルース』で話題を集めたシンガー・ソングライター。それから2年ぶり、カヴァーではない、オリジナル曲中心のアルバムとしては2015年『サンダウン・オーヴァー・ゴースト・タウン』以来となる新作が出た。

この人、もともとはアイダホの出身。その後、サンタフェ〜ロサンゼルスと活動の拠点を移し、現在はボストンで活動しているそうで。まあ、米国の北西部から南西部といったあたりをうろうろしている感じなのだけれど。志向している音楽性はまっすぐ米南部のもろもろ。今回も、カントリーあり、フォークあり、ブルースあり、スワンプ・ポップあり、ロックあり、ソウルあり、ロカバラードあり。これまでの歩みを集大成するような仕上がりになった、たぶん(笑)8作目のスタジオ・アルバムだ。

使う人それぞれによって“アメリカーナ”というジャンル名が指し示す音楽性は多様だけれど、そこでイメージできるほとんどの音楽スタイルを網羅している感も。「ユー・ケアド・イナフ・トゥ・ライ」のみ、彼女の出身地でもあるアイダホで生まれたバンド、レックレス・ケリーのレパートリーのカヴァー。あとはイーリンさんのオリジナルだ。いい曲多いです。

ツアー・バンドの面々を基本にしたレコーディング。特に長年活動をともにしてきたギタリスト、ジェリー・ミラーがいい。冒頭の「クロール」とか、ジェリーのごきげんなトゥワンギー・ギターと、艶めかしいフィドルとが不思議な感じで絡み合っていて。かっこいい。ブルージーなロカバラード「ウィットネス」も大好き。最高。さりげなくバックアップするホーンの響きも泣ける。真っ向からのホンキー・トンク・カントリー「ジーズ・ブルース」も渋い。

キュートでアンニュイなハニー・ヴォイスなので、ちょっと見過ごしがちではあるけれど、歌詞がけっこう切れ味鋭かったり。その辺も面白い。「79センツ」という曲では、彼女らしいウィットをまぶしながら、きっちり男女の賃金格差のようなものに言及していたり、「ビート・ザ・ドラム」という曲では差別されている者たちに立ち向う勇気を分け与えようとしていたり…。

近々、BSMFから国内盤も出ます。

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