ビスミッラー/ピーター・キャット・レコーディング・カンパニー
やっべー! パンチ、やっべー!
と、事情がわからない方にはさっばり…であろう雄叫びをあげたところで、本日のディスク・レビュー。昨日はシリア生まれのベドウィンの新作をご紹介しましたが、今朝は視点をインドへ。デリーを本拠にする5人組オルタナ・ポップ・バンドのアルバムです。
インドの音楽シーンのこととか、まったく知らないので、どんな音楽が普通に流通しているのかとかさっぱりではあるものの。このバンド、ピーター・キャット・レコーディング・カンパニー(PCRC)の音に偶然出くわして、妙に惹かれてしまった。ストリーミング時代ってのは出会いに満ちてますねー。
結成は2009年。2011年にファースト・アルバムを出して以来、着実なペースで活躍してきたらしい。アルバムも何作か出ているみたい。去年の3月、これまでの歩みを集大成したベスト・アルバムを出して、今年、心機一転、新作にあたる本盤『ビスミッラー』をリリースした。といっても、先ほども書いた通り、ぼくはこのアルバムがPCRCとの初遭遇。彼らの歩みについては、正直、何ひとつわかってません。ただ、そんな何もわかっていない耳に、彼らのサウンドはとても魅力的に届いた。
洗練されているんだか泥臭いんだか、緻密なんだか雑なんだか、やる気があるんだかないんだか、オルタナなんだか真っ当なんだか、楽しいんだか悲しいんだか、アナログなんだかデジタルなんだか、チューニングが合ってるんだか合ってないんだか、そもそもうまいんだかヘタなんだかすらよくわからない。全部が全部、キワの部分でゆらゆら揺らめいているようで。あんまり自信を持って他の方におすすめはできないものの、少なくともぼくは個人的に大いにハマった。不思議な吸引力がある。
どこまで狙っているんだかわからないけれど、カーティス・メイフィールドとかスモーキー・ロビンソンとかにも通じるスウィートなソウル感覚とかも漂っているし、エド・シーランとかジェイソン・ムラーズみたいな今どきのシンガー・ソングライターっぽさも交じっているし。
この盤がよかったので、去年出たベスト『ポートレイト・オヴ・ア・タイム2010〜2016』ってのも聞いてみたのだけれど、そっちはもっとホットクラブ系のジャズっぽさがあったり、ノスタルジックな感触とアシッドな感触が交錯している感じだったり、ボリウッドっぽいえぐめのディスコ・スウィングが取り入れられていたり…。その辺と比べると、この新作で彼らの音楽に対するアプローチの方向性は大きく変わってきているのかも。
まあ、とにかくよくわかんないけど(笑)。この夏のBGMがまた1枚見つかったってことだけは確かな感じ。うれしい。