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Disc Review

The Private Memoirs and Confessions of the Just Joans / The Just Joans (Fika Recordings)

ザ・プライヴェート・メモワールズ・アンド・コンフェッションズ・オヴ・ザ・ジャスト・ジョアンズ/ザ・ジャスト・ジョアンズ

ジャスト・ジョーンズ? ジョアンズ? この人たちのこと、全然知らなかったのだけれど。いい。バンドキャンプを見てみると、すでにけっこうたくさん7インチとか出していて。なんだか独特。2005年にグラスゴーで結成。初アルバムを出したのが2006年。もう10年以上前だ。もっと早く知りたかったような…。

もともとは曲作りも担当するデヴィッド・ポウプが、たぶん妹さんだと思われるケイティと組んで活動を開始して、やがて6人組へと発展したインディ・ポップ・バンドらしい。面白いコンピとかにも参加しながら着実に注目度をアップさせて、EPとかもあれこれリリース。“マグネティック・フィールズとプロクレイマーズをつなぐミッシング・リンク”とか呼ばれたり、“クレバーで、ウィッティで、ファニー”とか評されたり。シーンで独自の立ち位置を獲得しているそうだ。

アルバムとしては2017年にゆるめのコンセプト・アルバムという感じの『ユー・マイト・ビー・スマイリング・ナウ…』というのが出ていて。この段階で気づいておきたかったかも。で、この1月10日、新作アルバムである本作『ザ・プライヴェート・メモリーズ・アンド・コンフェッションズ・オヴ・ザ・ジャスト・ジョーンズ』が出て。

これがあまりにも良かったもので、あわてて『ユー・マイト・ビー…』にも遡って聞いてみた。もちろんそっちも良かった。けど、今回のほうが断然良かった。なんかものすごくいい。ゆるいようで、緻密なようで、無邪気なようで、巧みなようで、陽気なようで、暗いようで。とんでもなく多彩な、そして魅惑的なアンビバレンスに満ちたトイボックス・ポップ的な音世界。てことで、ここから始める…ってことでよいのかも。

そんなに昔のことを知らないので、確信はないけれど、音の組み立てもだいぶ上手になったみたい。ガールグループ・サウンド、サンシャイン・ポップ、フォーク・ロック、バロック・ポップ、ニュー・ウェイヴなど、1960〜80年代を自在に行き来しながら、様々、既視感たっぷりのアンサンブルなりフレーズなりを交錯させる中、やる気があるんだか、まったくテキトーなんだか、よくわからない脱力系の兄妹の歌声が舞う。しびれる。磁場が歪む。楽しくて仕方ない。

いきなり冒頭の曲から「ヘイ・ホー・レッツ・ノー・ゴー」だもんなぁ(笑)。“ダウナーなロス・キャンペシーノス”とか称しているレビューもあった。で、兄ポウプの歌詞がまた捻れているというか。自意識強めの眼差しで、不安とか、失意とか、不調とか、傷心とか、報われない思いとかを綴っていて。只者じゃない感じ。興味深そうな人だ。英国系インディ・ポップ・シーンに詳しい方にもっといろいろ教えてもらいたいものです。

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© 2020 Kenta Hagiwara