Disc Review

Quiet Signs / Jessica Pratt (Mexican Summer)

QuietSigns

クワイエット・サインズ/ジェシカ・プラット

以前、この人がヴァン・ダイク・パークスの『ソング・サイクル』を愛聴している…と語ったインタビューがあって。それ読んで、一気に興味を持った。ロサンゼルスの女性シンガー・ソングライター、ジェシカ・プラット。2012年のファースト、2015年の『オン・ユア・オウン・ラヴ・アゲイン』に続く、久々の新作が出た。

前2作がホーム・レコーディングものだったのに対し、今回は彼女にとって初のちゃんとしたスタジオでのレコーディング。といっても、基本的な肌触りはそのままだ。ヴァン・ダイクばかりでなく、ジョニ・ミッチェルとか、ニック・ドレイクとか、デヴィッド・クロスビーとか、そのあたりを想起させる浮遊感に満ちたコード感に乗せて、まるでブロッサム・ディアリーのようなキュートな歌声がつぶやくように舞う。

アコースティック・ギターによる淡々とした弾き語りを基本に、最低限のアンサンブルがほどこされた感じの音像も“深い”。共同プロデューサーとしてクレジットされているアル・カールソンがさりげないフルートやオルガンなどを担当。私生活でのパートナーらしきマット・マクダーモットもシンセで参加している。曲によってはローラ・ニーロとかニコとかカエターノ・ヴェローゾとかに通じるムードも。曲作りはロサンゼルスで。録音はブルックリンで。

静謐で、スピリチュアルで、アシッドで、ちょっぴりシュールで。今回も、やばい。

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