Disc Review

Yearn in Years / Josiah Everhart (628884 Records DK)

ヤーン・イン・イヤーズ/ジョシア・エヴァーハート

オレゴン出身のシンガー・ソングライター、ジョシア・エヴァーハート。この人、数年前から『クロノ・トリガー』とか『ゼルダの伝説』とか『スーパーマリオカート』とか『メトロイド』とか『ポケモン』とか『MOTHER2 ギーグの逆襲』とか『ドキドキ文芸部!』とか『アンダーテイル』とか、新旧ゲーム音楽に歌詞をつけて、自宅で友人と多重録音して、それを映像に収めてYouTubeで発表して…みたいな活動を続けてきていて。

やがて自作曲も手がけるようになって。2017年には自作曲7曲を収めたミニ・アルバム『ソングズ・カム・アンド・ゴーン』もリリース。そして今回、初のフル・アルバム『ヤーン・イン・イヤーズ』へと至った、と。そういう流れ。今のところデジタルのみみたい。

まあ、ぼくはゲーム方面に疎いのでよくわかっていないかもしれないけれど。知っている範囲で思い返してみても、ゲーム音楽って本当に多彩で。ポップで、ロックで、ブルージーで、ジャジーで、ミニマルで、プログレで、クラシカルで…。そういう意味ではジュシアくん、実に幅広い音楽性から影響を受けている。上にあげた、特に古めのゲームの曲には日本生まれのものも多いから、なんとなくJ-POPというか、歌謡ポップスっぽいニュアンスすらたたえているようで。面白い。

要するに、今やゲーム音楽も重要なルーツ・ミュージックなのだな、と。そんな事実を改めて思い知らされた1枚。数曲で仲間たちの手を借りてはいるけれど、基本ひとりで、部屋で、コンピューター使って多重録音するという、いわゆる“ベッドルーム・ポップ”の形式。なので、全体にもっとダウナーなイメージになるのかと思っていたら、歌詞はともあれ、音のほうは思いのほかポップな仕上がりで。

かつて40年以上前、アルバム・ジャケットだけ見て、“きっと内向きのフォークっぽいシンガー・ソングライターなんだろうなぁ”と思い込んでジャケ買いしてきたティム・ムーアのファースト・アルバムのA面1曲目「ア・フール・ライク・ユー」の、なんともポップな洗練というか、浮遊感というか、そういうものに出くわしたときのような…って、思いきりわかりにくい例えですが(笑)、あのときと同じような、ちょっと意外な感動があった。

歌詞に関しては、曲によって内省的だったり外向きだったりSFっぽかったり現実的だったり、こちらもそれなりに多彩。個人的には、陽性で快活なアレンジに乗せて無垢さに焦がれる思いを綴った「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ」から、メロウでドリーミーな音像のもと、ほろ苦い喪失感を歌ったミディアム・チューン「ムーンズ・オヴ・ジュピター」へ…という中盤過ぎの流れにシビれました。

これもまたバンドキャンプで知った1枚。バンドキャンプ、相変わらず油断ならねーなぁ…。

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