Disc Review

Gallipoli / Beirut (4AD)

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Gallipoli / Beirut

中心メンバー、ザック・コンドンはもともとニューヨークを拠点としていたのだけれど。トランプ政権になって以来、じわじわ米国の居心地が悪くなってきたこともあって、2017年、もろもろリセットするためにドイツのベルリンへ移住。彼の地でじっくり曲作りなどを続け、で、このほどニューヨークとイタリアのサン・ドーナチで3年ぶりの新作をレコーディングした、と。

アルバム・タイトルの“ガリポリ”というのもイタリアの街の名前なんだとか。ガリポリの戦いのガリポリとは違うのかな。あっちはトルコだったっけ。

いずれにせよ、成り立ちからしてなんともくらくらするような無国籍フィールに貫かれた作品。その、浮遊感とか異国情緒とかはもちろん音のほうにも存分に反映されている。ヨーロッパっぽいムードが強く、初期2作(06年の『グーラグ・オルケスタル』と07年の『ザ・フライング・クラブ・カップ』)へのある種の回帰と捉えることもできそう。実際コンドンは、かつて曲作りをする際によく使っていたというオルガンをまた使うようになったそうで。その辺も間違いなく影響しているのだろう。

が、初期作品ほど陰鬱なニュアンスは強くない。サイケでダウナーな往年のアシッド・フォーク的な手触りと、ローファイでアンビエントなインディー・ロック的なアプローチが交錯するなか、妙に律儀に鳴り響くトランペットが地中海っぽい開放感をもたらしているようで。印象的。まあ、完成度のようなものを普通の形で求めていない感触というか、学生映画を見ているようなムードというか、そういうのは相変わらず強く。音の取捨選択に関しても、ゆるい。プロっぽくない。ヴォーカルもへなちょこっぽいし。でも、地軸と時間軸をランダムにずらしながらイマジネイティヴな音のだまし絵を紡ぎ上げていくこの人たちのコラージュ感覚は、なんだか、こう、クセになります。

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