Disc Review

The Complete Chess Masters: 1950-1967 / Little Walter (Hip-O Select/Geffen)

ザ・コンプリート・チェス・マスターズ:1950〜1967/リトル・ウォルター

全録音総まくり企画に関しては右に出る者なし。米ヒッポ・セレクトから、またごきげんなボックスが出た。

アンプリファイズド・ブルース・ハープ、つまりアンプにつながれたマイクを持って、そこにハーモニカをくっつけて、両手で覆うように持って、ナチュラル・ディストーションのかかったファンキーな音色でぶわわわ~っと吹きまくるスタイルの先駆者、リトル・ウォルターがチェス・レコードに残した全音源を詰め込んだCD5枚組だ。

この人の場合、これまでは93年の『ジ・エッセンシャル・リトル・ウォルター』と95年の『ブルース・ウィズ・ア・フィーリング』という2枚組アンソロジー×2を揃えるのがベストな選択だったわけだけれど。このアンソロジー2種に収められて世に出た未発表音源や別テイクなども全て含んだうえ、さらなる未発表音源をどかっと加えて編まれたのが今回のボックス。1950年にマディ・ウォーターズ名義でリリースされた「エヴァンス・シャッフル」から、37歳という若さで他界する前年、67年にバディ・ガイやオーティス・スパンらとともに録音された“スーパー・ブルース・セッション”の音源まで。全126トラックのグルーヴィなシカゴ・ブルースをおなかいっぱい堪能できる。

この人、他のアーティストのバックで披露する演奏ももちろん聞き逃せないものばかりなのだけれど。ちょっとチンピラっぽい歌声とともに展開する本人名義の音源も格別。マディ・ウォーターズ、ルーサー・タッカー、ロバート・ジュニア・ロックウッド、ウィリー・ディクソン、フレッド・ビロウら、バックを固める面々のドライヴ感も最高だ。

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