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Disc Review

Sebastopol / Jay Farrar (Artemis)

セバストポル/ジェイ・ファーラー

今、すごくない? ウィルス・メール。BadTrans.Bってやつ。昨日から今日にかけて、一晩で20通くらい来たぞ。ずいぶん多くの人がやられちゃったみたいね。OutlookExpress使ってる人が被害の主な対象だとか。またかよ。なんでみんなOutlookExpressなんか使うんだろう。タダだからか? みんなケチだな。いくらタダでも、こんなに何度もウィルスの攻撃対象になってるんだし。少しは学べばいいのにと思う。まじに。

近しい方々の私設サポート・デスクみたいになっているぼくは、昨日、なんと3人の知人からこのウィルスにやられた旨、電話を受けて、駆除のお手伝いをするハメになった。もうみなさんご存じとは思うけれど、件名が「Re: 」だけで、差出人のメールアドレスの前に「_」が挿入されているメールにはご注意を。htmlメールで届くので、開かないようにね。OutlookExpressでhtmlメールを表示するように設定しちゃってる人は特に気を付けてください。プレビュー画面に表示されただけでウィルスが活動開始するらしいから。やられちゃった方はこのページとか参考にして駆除してください。できるだけぼくに頼らないでね(笑)。月末で締め切り地獄なんだから。

さて。このページで告知するのをすっかり忘れてしまっていたんですが。10月から、大学時代以来もう25年の付き合いになる日本一のオールディーズ博士、宮治淳一とともにラジオ番組をスタートさせました。月イチなんだけど。ラジオ日本で、毎月最終日曜日の深夜25時02分~27時まで。タイトルは『月刊・萩原健太 5069』。5069ってのは50歳代のロックって意味なんだそうっすよ。俺も宮治もまだ45歳なのに。まあ、おっさんはおっさんだから、別にいいけど(笑)。1万曲以上詰め込んであるぼくのパソコンをスタジオに持ち込んで、とりあえずテーマに沿ってほぼその場で思いついた曲をかけまくる、まあ、新宿ロフトプラスワンでやってるCRT/レココレのイベントみたいな番組ですが。ちょうど前の時間に大滝詠一師匠の『ゴー・ゴー・ナイアガラ・スペシャル』が放送されているので、もしよかったら月に一回、そのまま聞き続けてやってください。すでに2回放送がすんじゃっていて。次は年末も押し詰まった12月30日の放送。それを入れて、プロ野球が本格スタートするまで、つまり3月末まであと4回放送があります。お楽しみに。

CRT/レココレのほうも、12月は忘年会気分というか。なんとカントリー・ロックはもちろん、アメリカン・ロックですらない「小林旭」をテーマに盛り上がる予定です。つーことで、お気に入りのアルバム紹介にいきましょうか。


このところ、カントリー~オルタナ・カントリー系の人気バンドの中心メンバーによる気になるニュー・アルバムがいろいろ出ていて。元アンクル・テュペロ~サン・ヴォルトのジェイ・ファーラーによる初ソロ・アルバムである本盤をはじめ、元ウィスキータウンのライアン・アダムスのセカンド・ソロ『Gold』とか、これはたぶん解散したわけではないだろうけどマヴェリックスのラウル・マロの『Today』とか……。

Gold / Ryan Adams (Lost Highway)

エルトン・ジョンがあちこちで「この子、かわいいっ。セクシー。天才っ」と触れ回っていると噂の(笑)ライアン・アダムスは、ウィスキータウン時代のオルタナ・カントリー風味から旅立って、スティーヴン・スティルスとかヴァン・モリソンとかローリング・ストーンズとかニール・ヤングとか問題のエルトン・ジョンとか、その辺の70年代ロック志向を思い切り強調した仕上がりで。スティルスの息子クリス・スティルスがかなり全面的に参加して様々な楽器を担当していたり、ヴァン・モリソン~ザ・バンドが大好きなことでおなじみのカウンティング・クロウズのアダム・デューリッツがバック・コーラスに名を連ねていたり。ミディアム~スロウも含めてポップな曲作りを聞かせていて。確かにこりゃメジャーに向けてブレイクのチャンスかも。そのぶん、ちょっと何でもありのバラエティ豊かな1枚になっちゃって。音楽性はちょっと違うものの、ふと初期のレニー・クラヴィッツの在り方を思い出したりも……。個人的には去年のファースト・ソロ(ここの下の方に簡単なレビューを載せてあります)の、ぐっとインナーな手触りのほうが胸に残る。でも、相変わらずいい曲書いてるし。大きく羽ばたいてほしいものだと思う。まじに。バラエティ豊かな感触は、むしろ日本では歓迎されるかもしれないし。

Today / Raul Malo (Omtown)

ラウル・マロのほうは、バンドで聞かせるポップなカントリーものはなし。彼のルーツであるキューバ~ラテン調のフレイヴァーをどかっと表に出して、彼の歌声の特徴のひとつであるロイ・オービソンっぽい60年代風味とうまいバランスで絡み合わせた仕上がりだ。スティーヴ・バーリンが共同プロデュース。4曲ほどスペイン語で歌われたものもあって。この人独特の歌声がなければ、まさかマヴェリックスのリード・シンガーだとは気づかないくらいの、ごきげんなポップ・ラティーノ盤。特にスペイン語で歌われたものなんか、最近全米チャートを席巻するラテン・ポップ・アーティスト群のひとりかなと思わせる本格派の仕上がりになっているのだけれど、必殺のボレロにジャック・ニッチェを思い出させる深いバリトン・ギターが絡む曲とか、シェルビー・リン(新作、今いちで残念……)とデュエットした「テイクス・トゥー・トゥ・タンゴ」のカヴァーとか、ラテン系を愛好しているリスナーでなくても楽しめる音作りになっている。ラウル・マロ自身のルーツ探索作業という意味合いもあるのだろうけど、それ以上に、すでに白人カントリー・マーケットでは売れまくっているマヴェリックスが別マーケットに打って出た、みたいな意味合いも大きい1枚なのだろう。

と、そんな2枚とともにぼくが最近よく聞いているのが、今回のピック・アルバム。元サン・ヴォルトの中心メンバー、ジェイ・ファーラーの初ソロ盤だ。かつてアンクル・テュペロで活動をともにしていたジェフ・トウィーディがとりあえず今もウィルコとしてのバンド活動を継続するなか、ファーラーさんのほうはバンドを解散しソロ活動に入った。去年から今年にかけて、いろいろとアコースティック・ライヴをやったりしていたようで。バンドからソロへと向かう過渡期のそうした検証作業を終え、満を持して作り上げた1枚。アメリカン・ロックしてますよ。曲によってはサン・ヴォルトふうのバンド・サウンドをそのまま継承したものもある。けど、どの曲にもシンガー・ソングライターっぽさが多かれ少なかれ漂っていて。サン・ヴォルトのラスト・アルバムとなってしまった『ワイド・スウィング・トレモロ』でバンド自体のスケール感を強調するあまり、一瞬隠れてしまったファーラー個人の持ち味を甦らせた仕上がりって感じかも。

正直言って、冗長な部分もある。さらに、この人の良さでもあり弱さでもある“ちょっと真面目すぎる感触”も変わらずだし。ただ、音作りの面ではけっこう多くの曲でシンセなのかサンプリングなのか、にせもののストリングスとかホーンとかも絡んでいて。安っぽいっちゃ安っぽいんだけど。その部分はいい意味でぼくの頬をゆるませてくれた。その辺の音とファーラーのニール・ヤング色濃いギターとのコンビネーションが妙に面白くて。狙ったわけじゃないとは思うけれど、なんだか微笑ましく魅力的。

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