
NBPファイル vol.137:追悼ラウル・マロ
ラウル・マロが亡くなった。去年、結腸癌であることを公表して闘病を続けていたけれど、12月8日、家族に見守られながら旅立ったとのこと。享年60。
ナッシュヴィルのライマン・オーディトリアムに多くの音楽仲間が集まって彼へのトリビュート・コンサートを催した2日後。彼自身、もし体調が持ち直したら出演する予定だったというこのコンサートの模様を病室で最後まで見届けて…。
日本での知名度は今ひとつだったかもしれない。けど、本当に素晴らしいシンガーであり、ソングライターであり、ギタリストだった。キューバ移民の両親のもと、マイアミで育った彼のボーダーレスな個性はかけがえのないものだった。エルヴィス・プレスリー、ハンク・ウィリアムス、ロイ・オービソン、サム・クック、セリア・クルースなど、彼の歌声にはあらゆるグッド・ミュージックが無差別に飛び交っていた。
1989年、マーヴェリックスを結成して本格デビュー。カントリーでもロックンロールでもテックス・メックスでもキューバ音楽でもない。そのどれでもあり、どれにも収まらず、すべてを横断する音楽性で大当たりをとって。21世紀に入ってからはソロ・アーティストとしても活動。
本ブログでは、彼が2023年、ギタリストとしてリリースしたインスト・アルバム『セイ・レス』を紹介したこともあったけれど、あまりシンガーとしての彼の本領に言及したことがなくて。今となってはちょっと心残り。
なので、こんな機会に…というのがまた残念でならないものの、ラウル・マロを偲んで追悼プレイリスト、作ってみました。30年以上のキャリアがあるだけに、ぼくにとっても好きな曲は無限にあって。当然、選びきれないのだけれど。いつものスロウバック・サーズデイ恒例NBPプレイリストに合わせて、12曲に絞ったセレクションです。
オリジナル、カヴァー、取り混ぜてのリスト。歌声がひとつの“芯”となって、あらゆるスタイルを自分の音楽にしてしまう、そんなラウル・マロの稀有な持ち味を偲びましょう。
- Born To Be Blue / The Maverics (2013)
- All You Ever Do Is Bring Me Down (feat. Flaco Jimenez) / The Mavericks (1995)
- To Be With You / The Mavericks (1998)
- I Don't Care If You Love Me Anymore / The Mavericks (1996)
- Today / Raul Malo (2001)
- Me Voy pa'l Pueblo / Los Super Seven (2001)
- Hello Again / Raul Malo (2008)
- All Night Long / The Mavericks (2015)
- This Broken Heart / The Mavericks (1992)
- Better Off In Texas / Raul Malo & Ray Benson (2010)
- Jersey Girl / Raul Malo (2021)
- Welcome To My World / Raul Malo (2007)

