Disc Review

Tonight's the Night 50 / Neil Young (Reprise)

今宵その夜 50周年エディション/ニール・ヤング

11月いっぱい、真面目に仕事に取り組んでおりましたよ。来春に向けて、何やってたかお知らせできることになると思いますが。その際はよろしくお願いします。

来春といえば、これは1月ですが。1月31日に早稲田大学エクステンションセンター中野校で、『英米ロック史―冬の特別編』ってのもあります。英米ロック史ではありますが、今回は筒美京平さんにスポットを当てた講座です。ご興味ある方、いらっしゃるようであればこちらのページをご参照ください。

というわけで、趣味のブログ更新もゆるやかに再開。まずはニール・ヤングの、いわゆる“ディッチ・トリロジー”最終作の50周年記念エディションから。

ニールさんのディッチ・トリロジーといえば、1973年の『時は消え去りて(Time Fades Away)』、1974年の『渚にて(On the Beach)』、1975年の『今宵その夜(Tonight's The Night)』のことだけれど。

この“ディッチ”にぴったりくる日本語訳をいまだ見つけられずにおります。そういう人、多いんじゃないかな。“暗黒の三部作”とか“どぶ板三部作”とか、人によっていろいろ言うけれど、なんか今ひとつしっくりこない。まあ、それもまたディッチな感じ?(笑) 

ベスト・アルバム『ディケイド』のライナーでニールさんは“「孤独の旅路(Heart of Gold)」のヒットで自分はミドル・オヴ・ザ・ロード(文字通り“道の真ん中”のことなのか、音楽ジャンル的なMORのことなのか…)に立たされたけど、それが退屈になってきたので自らハンドルを切ってディッチに突っ込んだ”みたいなことを書いていたので。まあ、ニュアンスとしては乗り心地のよくない“悪路”ってとこかも。

で、困ったことに、この迷いの時期の3作ってのが、実はけっこうファンにとっては深くハマってしまう作品ばかりだったりして。と、そんな魅惑的などんづまり期三部作の最後を締めたのが『今宵その夜』。その発売50周年記念エディション。出ました。オリジナル発売は1975年ながら、ご存じの通り実際に録音されたのは1973年なので。50周年ってのが少々微妙かとは思いますが。

この時期、ニールさんの周りではクレイジー・ホースのダニー・ホイッテンや、ローディーのブルース・ベリーら、親友でもあり、音楽活動上の重要なパートナーたちが相次いでドラッグのオーヴァードウズで他界。それを受けて制作された1枚ゆえ、かなり陰鬱なムードをたたえていて。レコード会社もリリースに消極的で。結局アルバム発売が1年以上先送りされてしまったわけだけれど。

50周年にあたって、ニールさん、オリジナル・アルバム収録の全12曲をリマスター。うち「ルックアウト・ジョー」だけは1973年にロサンゼルスで録音された未発表初期ヴァージョンに差し替えられている。

で、ボーナスをさらに6曲追加。今回の「ルックアウト・ジョー」同様、初期セッションで録音された「ウォーク・オン」のオリジナル・ヴァージョンも今回初出。あとはラストに収められている「トゥナイツ・ザ・ナイト」のテイク3ってのも未発表だった音源だ。「ワンダリン」はNYAウェブサイトで公開されていた未発表音源に最新リマスターをほどこしたうえでの初フィジカル化。

残るボーナス・トラック、「エブリバディーズ・アローン」、「スピーキン・アウト・ジャム」、そしてジョニ・ミッチェルとの「陽気な泥棒(Raised on Robbery)」はボックスセット『アーカイヴズ Vol.2』で既出の音源の最新リマスター。

1CD版と2LP版あり。クリア・ヴァイナルもあるので、LPがいいけど。このところボックスセット続きだからなぁ。またまた悩ましいぞよ。

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