Disc Review

Detour / Boz Scaggs (Concord)

デトゥアー/ボズ・スキャッグス

ソロ・スタジオ・アルバムとしては20作目なのかな。ボズ・スキャッグスの新作、出ました。

2003年の『バット・ビューティフル』と2008年の『スピーク・ロウ』では、グレイト・アメリカン・ソングブック的なスタンダードのカヴァーに挑んで。2013年の『メンフィス』では文字通りメンフィスのロイヤル・スタジオに出向いてアル・グリーン、タイロン・デイヴィスあたりからスティーリー・ダン、ムーン・マーティンなどまで、オリジナル曲も交えつつソウルもの方面に寄って、2015年の『ア・フール・トゥ・ケア』ではナッシュヴィルのスタジオへと出向いて、往年のニューオーリンズR&Bやシカゴ・ソウル、フィラデルフィア・ソウルなどの名曲をカヴァーしまくって…。

で、今回。改めて『バット・ビューティフル』『スピーク・ロウ』路線へと立ち返って。3作目のスタンダード・カヴァー集を届けてくれた。セス・アサーナウ(ピアノ)、ハンス・トロウシー(ベース)、ジェイソン・ルイス(ドラム)というピアノ・トリオを中心に、ジム・コックス(キーボード)、ジェレミー・コーエン(ストリングス)、マイケル・ミラー(ギター)、アシュラ・ウェストン(ギター)らがバックアップ。

もちろん今回も選曲にはちょっとひねりが効いていて。オープニングを飾るのはアーマ・トーマスがヒットさせたアラン・トゥーサン作品「イッツ・レイニング」。ホレス・ハイト、ロニー・ジョンソン、エルヴィス・プレスリーらのヴァージョンでもおなじみ「トゥモロウ・ナイト」なんてのもセレクトされている。さらに1969年のアルバム『ボズ・スキャッグス』に収められていた自作曲「アイ・ウィル・ビー・ロング・ゴーン」もジャジーに再演されていたりして。なんかうれしい。

ちなみに、アルバム・タイトルにつながる「デトゥアー・アヘッド」はジャズ・ヴァイオリン奏者のジョニー・フリーゴの曲で。ビル・エヴァンスの名演がいちばん有名かな。サラ・ヴォーンとかエラ・フィッツジェラルドとかによるヴォーカルものにもいいのがありますが。さすがボズ。なかなか渋いところ、持ってきます。

その他は「エンジェル・アイズ」「アイ・クッド・ハヴ・トールド・ユー」「ウィール・ビー・トゥゲザー・アゲイン」などフランク・シナトラの必殺の名唱で知られる曲を中心に、ジョアン・ジルベルトとかでおなじみの「ワンス・アイ・ラヴド」とか、ボビー・トゥループが妻ジュリー・ロンドンのために書いた「ザ・ミーニング・オヴ・ザ・ブルース」とか、ナット・キング・コールからリッキー・ネルソンまで幅広く取り上げてきた「ザ・ヴェリー・ソート・オヴ・ユー」とか、グレイト・アメリカン・ソングブック系の名スタンダードばかり。

秋にはぴったりじゃないすか? なんか日本盤には1曲ボーナスも入るとか。

created by Rinker
UNIVERSAL MUSIC GROUP
¥3,300 (2025/10/20 11:15:44時点 Amazon調べ-詳細)

Resent Posts

-Disc Review
-, ,