Disc Review

Indian Ocean (Deluxe Edition) / Frazey Ford (Nettwerk)

インディアン・オーシャン(デラックス・エディション)/フレイジー・フォード

カナダのシンガー・ソングライター、フレイジー・フォード。もともとは女性3人でオルタナ・カントリーというかフォークというか、そういうタイプの音楽をやるビー・グッド・ターニャズってバンドの一員だった人だけれど。

2010年に初ソロ作『オバデア』を出して。その後、ものすごくゆっくりしたペースでアルバム・リリースを続けている。と、そんなフレイジーさんのセカンド・ソロ・アルバムにあたる2014年の『インディアン・オーシャン』のデラックス・エディションってのが出たのでご紹介です。

ソロになってから、フォーク風味、カントリー風味はそのまま、ぐっとソウルっぽい味わいも増幅したフレイジーが、その感触をより本格的に追求するため、スタックス〜ハイR&Bサウンドの本拠地、メンフィスにあるウィリー・ミッチェルのロイヤル・スタジオへ。

カナダのアフターライフ・スタジオでも地元ミュージシャンとレコーディングされているけれど、メンフィスではチャールズ・ホッジス(オルガン)、リロイ・ホッジス(ベース)、ティーニー・ホッジス(ギター)らオリジナル・ハイ・サウンドの担い手たちを交えてのセッション。3管のホーン・セクションも加わって、極上の“モノホン感”を醸し出してくれている。

特にティーニーは、このレコーディング期間中に68歳で亡くなっていて。そういう意味でも感慨深く、貴重なレコーディングとなってしまった。

ロイヤル・スタジオまで出向いたからといって、これ見よがしに熱くシャウトするとかそういうこともなく。自分なりの静謐なシンガー・ソングライター的持ち味はそのまま、チャールズ・ホッジスのオルガンとかホーン・セクションのアンサンブルとかを、なんというか、こう、ブリージーに採り入れるみたいな。そのアプローチがとても心地よかったものです。いいアルバムだったなぁ。

で、2014年に全10曲+隠しトラック1曲で出たときは、オーラ・コーガン作の1曲を除いてすべてフレイジーが曲作りに絡んだオリジナル集だったけれど、今回のデラックス・エディションにはさらに3曲が追加されていて。それらはすべてカヴァー。

オーティス・レディングの「ザ・ハッピー・ソング」とヴァン・モリソンの「クレイジー・ラヴ」、そしてアン・ピーブルズの「トラブル、ハートエイクス&サッドネス」。どれも当時のオリジナル・セッション時に録音されたものだとか。フレイジーさんのルーツが垣間見えるというか。あ、そうか、ヴァン・モリソンね、アコースティック・フォーク感覚とR&Bの合体ね、なるほど…的な?

10年越しの種明かしみたいな、うれしいデラックス・エディションでした。今のところストリーミング/ダウンロードのみみたい。

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