Disc Review

The Country Side of Paul Carrack, Volume 1 / Paul Carrack (Carrack UK)

カントリー・サイド・オヴ・ポール・キャラック VOL.1/ポール・キャラック

エイス、スクイーズ、マイク&ザ・メカニックスなどのヴォーカリストとして独自のブルー・アイド・ソウルっぽい歌声を披露してきたのに加えて、近ごろはエリック・クラプトン・バンドの一員としてちょくちょく来日もしてくれているポール・キャラック。

ソロ名義の作品としては、自作曲中心のオリジナル・アルバムだけでなく、オーケストラをバックにジャズ、ブルース、スタンダードなどをカヴァーするアルバムをいい感じのペースでリリースしたりしていて。

そんなポールさん、今回はカントリーに挑戦です。2021年にリリースしたオリジナル曲中心のアルバム『ワン・オン・ワン』で、1曲だけ、チャーリー・リッチの「ビハインド・クローズド・ドア」をカヴァーしていたのだけれど。これがよくて。そうだよなぁ、ヴァン・モリソンにしても、ビル・メドレーにしても、ブルー・アイド・ソウル系の白人シンガーがカントリー歌うといいんだよなぁ、ポール・キャラックもそういうアルバム出してくれないかなぁ…とか思っていたのだけれど。

そんな夢がかないました。

ソウルとカントリーの融合という、この分野は、レイ・チャールズという偉大な先達が切り拓いたもので。その影響下にあるアーティストならば誰もが挑みたいと思っているものだろうし。半端なものを作るわけにもいかないだろうし。それだけにポール・キャラックも気合い入れて、でも妙に気張りすぎることもなく、リラックスしたいいアルバム届けてくれました。

全10曲中、オリジナルが2曲入っていて。「ラヴ・ウィル・キープ・アス・アライヴ」と「コールド・ライト・オヴ・デイ」。残り8曲がカヴァー。ドン・ギブソンの「シー・オヴ・ハートブレイク」、ジョージ・ジョーンズの(というか、ぼくはカレン・ダルトンの必殺カヴァーで愛聴している)「テイク・ミー」、レイ・プライスというかガイ・ミッチェルというか、の「ハートエイクス・バイ・ザ・ナンバー」、マール・ハガードの「シェリーズ・ウィンター・ラヴ」、ハンク・スノウの「イット・ドント・ハート・エニーモア」、ハンク・ウィリアムスの「テイク・ジーズ・チェンインズ・フロム・マイ・ハート」と「アイ・ソー・ザ・ライト」、ルーヴィン・ブラザーズの「マイ・ベイビーズ・ゴーン」というセレクション。選曲もいい。

ストリーミングはスタートしてます。フィジカルは間もなく。“Volume 1”って書いてあるから、当然、“2”を期待しろってことだよね。します。期待。

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