Disc Review

So Much I Still Don’t See / Sam Robbins (self released/Shamus Records)

ソー・マッチ・アイ・スティル・ドント・シー/サム・ロビンズ

ボストン生まれで、現在はナッシュヴィルが本拠。年に4万5000マイルをツアーし続けるという旅人系シンガー・ソングライター、サム・ロビンズの3作目だ。

日々、途切れることなく続くそんなロードの中で綴られた10編の旅日記、みたいな? ほぼ同郷、マサチューセッツ州シェルバーンズ・フォールズ出身のシンガー・ソングライター、セス・グリアがプロデュース。やはりマサチューセッツ州スプリングフィールドのゴースト・ヒット・レコーディングでほぼライヴ同様のワン・テイクにこだわった形で録音されたのだとか。

なわけで、ギターを弾くフィンガー・ノイズとかも生々しく、部屋鳴りもナチュラルな1作。曲によってピアノ、オルガン、エレクトリック・ギター、ウッド・ベース、ドラムなどが控えめに加わる。

“現代のジェイムス・テイラー”とか言われたりすることもあるロビンズだけれど、それよりもドン・マクリーンとかハリー・チェイピン的なストーリーテラーの雰囲気というか。いや、もっと、なんだろう、たとえばサム・ニーリーとか、今では誰も話題にしてくれなさそうな1970年代シンガー・ソングライター的な肌触りがある。なんだかやけに懐かしい。

テネシー州の公園の日差しを汚らしく遮る高層コンドミニアム建設のために積まれた砂山に人生を重ねる「パイルズ・オヴ・サンド」で幕開け。以降、夜の高速道路のサービスエリアのようなところに身を置きながら“本物”に焦がれる「ザ・リアル・シング」、全米を旅しながら分断された世界で希望を見出そうとする祈りのような「ホワット・ア・リトル・ラヴ・キャン・ドゥ」、曖昧な噂話ばかりが渦巻く時代へのメッセージが託された「ピープル・ゴナ・トーク」など、様々な角度に視点を移行させながら、旅の途上で目の前を通り過ぎていく光景を淡々と描いていく。

そして、まだまだ何も見えていないものが多すぎることを歌った表題曲を経て、ラストはビートルズの「アイ・ウィル」をナッシュヴィルの女性シンガー・ソングライター、ハリー・ニール(ロビンズのフィアンセだとか)とデュエットして、幕。

なんか、じんわりくる1枚です。フィジカルは今のところ本人のウェブ・ストアでしか見てないかも。そのうち、かな。

※というわけで、昨日も愚痴ったように〆切り渋滞状態が続いておりまして。まあ、ぼくの仕事が遅いのが悪いだけなんですが。状況改善を目指して、明日からまたしばらくブログ更新、サボっちゃいますね。楽しみにしてくださっている方、もしかしていらっしゃるようでしたらすみません。なるべくすみやかに更新再開します。それまでちょこっとお休みします。

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