Disc Review

Somethin’ In The Water / kitti (Rebecca’s Records)

サムシン・イン・ザ・ウォーター/キティ

2019年ごろから着実なペースでシングルのリリースを重ねてきた英グラスゴー拠点のシンガー・ソングライター、キティ。

ジャズ寄りのシーンで早くから評価されてきたようで、スコットランドでもっともエキサイティングなジャズ・パフォーマーのひとりとして2020年、スコティッシュ・ジャズ・アワードの最優秀ヴォーカル賞を獲得したりもしているのだとか。

2022年以降は、メイヴィス・ステイプルズ、ヴァン・モリソン、ロッド・スチュワートらのオープニング・アクトをつとめたり、スコットランド国立ジャズオーケストラの公演に参加したり…。

そんな彼女の初フル・アルバムが出ました。2022年から制作にとりかかっていたものらしく。子供のころから大いに影響を受けてきたチャカ・カーン、アレサ・フランクリン、ベティ・デイヴィスといった偉大な先達からの影響はもちろん、時にはエイミー・ワインハウスやアデル、エリカ・バドゥあたりのイメージも想起させながら、のびのびと持ち前のジャジーでソウルフルな歌声を解き放っています。

なんでも、私生活では子宮内膜症と闘っていたり、境界性人格障害に悩まされていたり、いろいろ大変な体験をしているらしいのだけれど、そうした中で巡らせた様々な思いというか、どんなに困難な時でも自分がいつも自分の擁護者でいなくては…みたいな思いがどの曲にも通底しているみたい。

冒頭のイントロダクションや途中はさまるインタールードのように、ピアノ弾き語りっぽい曲ももちろんいいのだけれど、エレクトリック・ギター1本で綴られる「ミー、マイセルフ&アイ」みたいな曲もけっこうよくて。そのあたりにこの人の“ジャズ観”のようなものが滲んでいる気も。

フィジカルはアナログ盤のみみたい。そのほうが似合ってはいるけど、でも、高えなぁ…(笑)。

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