Disc Review

Neil Young Archives, Vol. III: 1976-1987 / Neil Young (Reprise)

ニール・ヤング・アーカイヴズ Vol.III:1976〜1987/ニール・ヤング

先週末、ニール・ヤングのオフィシャル・オンライン・ショップで注文していた17CD+5Blu-rayという豪勢な22枚組『アーカイヴズVol.III』出荷のお知らせメールが来て。もう大盛り上がり。もちろんまだブツは海を渡っている最中らしく、手元には届いていないのだけれど。

でも、ニール・ヤングのとこはボックスとか買うとハイレゾ・ファイルのダウンロードもさせてくれるので。さっそく音だけは先行でゲットしました。Blu-rayに収録されている映像はもちろんまだ見られないけれど、CD17枚に詰め込まれている全222トラックは24bit-192kHzのフォーマットですべて無事にダウンロード完了!

全長14時間超えなので、当然まだ全部は聞ききれていないものの。ちょいちょい興味深いところをつまみ食いしているだけで、もうワクワク幸せ。やばいです。

精力的に継続中のニール・ヤング・アーカイヴズ・シリーズ。そのメインとも言うべき特大ボックスセットも、2009年の『Volume I: 1963–1972』(10Blu-ray)、2020年の『Volume II: 1972–1976』(10CD)に続いて、これが第3弾。先述した通り、今回は17CD+5Blu-rayと物理的にもスケールアップして。

今回は1976年から1987年までの11年間をカヴァーした内容。アルバムで言うと『アメリカン・スターズ・ン・バーズ』とか『カムズ・ア・タイム』とか『ラスト・ネヴァー・スリープス』とかを含む時期だ。まあ、ゲフィンに移籍していた時期の『トランス』みたいな賛否渦巻く問題作もこの時期の作品なので、その辺の関連音源もいろいろ。それも含めてニール・ヤングって人ならではの“幅”を多角的に楽しめる箱って感じかも。

しかもライヴ的には、クレイジー・ホースを引き連れての初来日公演とか、ザ・バンドの解散コンサート“ザ・ラスト・ワルツ”とかもあった時期で。その辺の音源も入っているだけにいっそう盛り上がる。

前述の通り、トラック数は全部で222だけれど。ニールさんがリスナーにレコーディングの詳細などを語ったコメントとかもそれぞれ独立した1トラックとしてちょいちょい挟み込まれているので、曲だけだと全198トラック。うち121トラックが未発表音源だ。まあ、おなじみのレパートリーの別ヴァージョンとかライヴ・ヴァージョンとかが中心ではあるものの、いやいや、今回初お目見えの曲も15曲あって。油断なりません。たまりません。まあ、これまでマメにアーカイヴ・リリースを追い続けてきた身としては、けっこうダブリ音源も含まれていて、ちょっと複雑な気分ではあるけれど。それもまた、ある種縁起物みたいな、ね(笑)。

CD17枚が1枚ずつとか、2枚ずつとか、全部で11の紙ジャケに収められていて、Blu-ray5枚のほうは3つの紙ジャケに…という感じらしい。ブツがないのでよくわかりませんが(笑)。以下の説明で、Disc 1Aとか1Bとか書いているのがひとつの紙ジャケに2枚組のようにして入っているらしい盤です。

“アクロス・ザ・ウォーター”と名付けられたCD1 (Disc 1A) と2 (Disc 1B) は1976年3月のワールド・ツアーの記録。武道館で行われた初来日公演と英ロンドンのハマースミス・オデオンでの演奏で構成されている。弾き語りセットおよびクレイジー・ホースとのセット。

CD3 (Disc 2)“ヒッチハイキン・ジュディ”は、2017年に発掘リリースされたソロ弾き語りアルバム『ヒッチハイカー』からのセレクションと、1976年の全米ツアーからの弾き語り、およびザ・バンドの解散コンサート“ザ・ラスト・ワルツ”でのジョニ・ミッチェルらとの共演パフォーマンス、『アメリカン・スターズ・ン・バーズ』からの音源などを詰め込んだもの。

CD4 (Disc 3A)“スナップショット・イン・タイム”は、1977年3月にマリブのリンダ・ロンシュタットのお家で、ニコレッタ・ラーソン、デヴィッド・ブリッグスらとテーブルを囲んで『アメリカン・スターズ・ン・バーズ』のための新曲をあれこれ検討している様子など。昨日書いた曲なんだけど…とか言いながら、ニコレッタとリンダによる初々しいコーラスを従えて歌う「ヘイ・ベイブ」のラフな弾き語りデモとか、「太陽への旅路(Long May You Run)」とか、けっこうドキドキします。“たぶん君は今ごろビーチボーイズに夢中なんだろうね”って歌詞のところで、わっはっはっは…と自然と笑いが起こったりして。んー、これはどっちの意味だ…? CD5 (Disc 3B)“ウィンドワード・バッセージ”はボブ・モズレー、ジェフ・ブラックバーン、ジョニー・クラヴィオットと組んだザ・ダックスの音源。

CD6 (Disc 4)“オーシャンサイド/カントリーサイド”は1977年にフロリダのトライアド・スタジオで録音されたアコースティック・ソロや、ナッシュヴィルのクレイジー・ママ・スタジオでジ・インターナショナル・ハーヴェスターズ(カール・T・ヒメル、ジョー・オズボーン、ルーファス・ティボドゥー、ベン・キース)と録音した音源など。

CD7 (Disc 5)“ユニオン・ホール”は『カムズ・ア・タイム』のころの記録で。来たるべきマイアミでのコンサートを控えて、ナッシュヴィルのユニオン・ホールでニコレッタ・ラーソンとともに、“ザ・ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド・オーケスト”とリハーサルしている貴重な様子とかが楽しめる。

CD8 (Disc 6A) と9 (Disc 6B) は“ボーディング・ハウス”。1978年、サンフランシスコの《ボーディング・ハウス》での弾き語りライヴとか、そのライヴの合間にスタジオ録音したDEVOとの「ヘイ・ヘイ・マイ・マイ」とか。

CD10 (Disc 7A)“セダン・デリヴァリー”は『ラスト・ネヴァー・スリープス』〜『ライヴ・ラスト』期のクレイジー・ホースとの音源集。未発表曲「ブライト・サニー・デイ」がうれしい。CD11 (Disc 7B)“コーストライン”は『タカ派とハト派(Hawks & Doves)』〜『リアクター』期。未発表曲「ウィンター・ウィンズ」「サニー・インサイド」にしびれます。

CD12 (Disc 8)“トランス/ジョニーズ・アイランド”は、ついに混沌の『トランス』期へ。ベン・キース、ブルース・パーマー、ラルフ・モリーナ、ジョー・ララといった顔ぶれによるハワイ・レコーディングも。今聞くと、これはこれで…みたいな?

CD13 (Disc 9A)“エヴォリューション”は『エヴリバディーズ・ロッキン』期。ロカビリーものあり、カントリーあり、トランスものあり。ぐしゃぐしゃの時期です。これもこれで今となっては面白い。『エヴリバディーズ・ロッキン』、嫌いじゃなかったし。CD14 (Disc 9B)“タッチ・ザ・ナイト”はクレイジー・ホースとの1984年、サンタ・クルースでのライヴ。当時まだ未発表だった新曲とかいろいろやってます。

CD15 (Disc 10A)“グレイ・ライダーズ”は前出インターナショナル・ハーヴェスターズとのライヴ。2011年に発掘リリースされた『ア・トレジャー』とカブる内容です。CD16 (Disc 10B)“ロード・オヴ・プレンティ”は『ランディング・オン・ウォーター』期のもろもろ。ディスクのタイトル・チューンはやがて『フリーダム』の「エルドラド」に発展する初期ヴァージョンです。

で、CD17 (Disc 11)“サマー・ソングズ”が1987年のデモ録音集。1988年のCSNYの再結成アルバムや、『フリーダム』などで再演されることになる楽曲がずらり。ほんの少しだけのダビングをほどこした、すっぴん系のいい仕上がりです。

ブツが実際に届けば、5枚のBlu-rayもたっぷり楽しめるはず。1982年の映画『ヒューマン・ハイウェイ』をはじめ、合計14時間に及ぶ全11本の映像作品群。いやー、うれしいけど。いったいいつ全部見終えられるんだろう。ブックレットも160ページらしいし。オリパラ終わって、ようやく寝不足解消できそうになったのに。うー…。

ストリーミングされているのは、今のところ、ボックスを買うとおまけでもらえた16曲入りのサンプラー『ニール・ヤング・アーカイヴズ Vol.III テイクス』だけ。これじゃやっぱり物足りないので、映像はともあれ、ファンの方はCD17枚組のほうだけでも、ぜひ。ブックレットは36ページにきゅっと縮小されているみたいですが。

というわけで、以下の商品リンクは17枚組のほうに貼っておきます。というのも、ぼくがオフィシャル・ストアで買ったBlu-ray入りの22枚組箱、日本のオンラインCDストアだと20万円超えの値段がついていたりしているから。びっくりだ。オフィシャル・ストアだと450ドルくらいで買えました。7万円弱。まじ、20万はないよなぁ…。ジョン・レノンの『マインド・ゲームス』メガ・デラックス・ボックスが出たときも書いたことだけど、ポップ音楽の値段じゃねぇぞ、これ。ご注意ください。

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