Disc Review

Keep on Keepin’ on: The Atlantic Years (Phase Two: 1979-1984) / The Spinners (SoulMusic Records/Cherry Red)

キープ・オン・キーピン・オン:アトランティック・イヤーズ(パート2:1979〜1984)/ザ・スピナーズ

去年の10月、本ブログでも紹介したスピナーズの7枚組ボックスセット『エイント・ノー・プライス・オン・ハピネス:ザ・トム・ベル・スタジオ・レコーディングズ(1972〜1979)』。文字通り、彼らがアトランティック・レコードに移籍した1972年以降、名匠トム・ベルがプロデュースを手がけたオリジナル・アルバム8作を全部詰め込んだ箱だったのだけれど。

その続編、出ました! トム・ベルと袂を分かち、新たにマイケル・ゼイガー、エムトゥーメ、レジー・ルーカス、フレディ・ペレン、レオン・シルヴァーズ3世らと組むようになったアトランティック在籍後期のオリジナル・アルバム全6作をまるごと網羅したボックスセット。それが『キープ・オン・キーピン・オン:アトランティック・イヤーズ(パート2:1979〜1984)』だ。

フォー・シーズンズの「君のもとに帰りたい(Working My Way Back To You)」を「ワーキング」なるタイトルでカヴァーしてディスコ・フロアで甦らせたり、サム・クックの「キューピッド」を取り上げてリバイバル・ヒットさせたり、いきなりカーペンターズの「イエスタデイ・ワンス・モア」をカヴァーしたり…。で、そのどれもがマイケル・ゼイガーの作った新しい曲とメドレーになっていて。と、そんなあの手この手で新時代への適応を模索していた時期の記録です。

今回もCD7枚組ボックスで。収録されているのは1979年の『ワーキング(Dancin’ and Lovin’)』、1980年の『キューピッド(Love Trippin’)』、1981年の『イエスタデイ・ワンス・モア(Labor of Love)』、1982年の『恋は気ままに(Can’t Shake This Feelion’)』、1982年の『恋のムーンライト・マジック(Gland Slam)』、1984年の『クロス・ファイア』。それぞれをCD1枚ずつに分載して。シングル・ヴァージョンや12インチ・ヴァージョンをボーナス追加して。

それでCD6枚。で、もう1枚は、トム・ベル時代の作品ながらスタジオ・アルバムではなかったので前回のボックスには入らなかった1975年の『スピナーズ・ライヴ!』。これがまるごと1枚、ボーナス・ディスクとして追加されているのもうれしい。もちろんリード・ヴォーカルがフィリップ・ウィンだった時代。ディオンヌ・ワーウィックと組んで全米ナンバーワンに送り込んだ「愛のめぐり逢い(Then Came You)」に作者のリンダ・クリードがデュエット・パートナーとして参加してディオンヌの代わりをつとめてるやつです。

まあ、オリジナル・アルバムに関してはトム・ベル時代に比べるとちょっと魅力に欠けるかもしれないけれど。これもまたスピナーズ。しかも『恋のムーンライト・マジック』と『クロス・ファイア』に関してはデジタル・リリースがあったものの単体では今回が初CD化かな。

この時期のスピナーズの曲だと、個人的にはタワサ・アジーが作った「ユー・ゴー・ユア・ウェイ」とか大好きでよく聞いていたのだけれど、そのタワサやマイケル・ゼイガー、当時のリード・ヴォーカルだったジョン・エドワーズ、グループ創設以来のオリジナル・メンバーだった故ヘンリー・ファンブロウら関係者のコメントも含むブックレットもいい。ニック・ロビンスが手がけたリマスタリングもなかなか。

当時のスピナーズの音源はそこそこ配信もされてはいるものの、中にはなぜかまったく配信されてないものとか、エディット・ヴァージョンのみ配信されているものとかもあって。5年くらい前から配信されている『The Complete Albums 1973-1984』ってやつも実はコンプリートじゃなかったりして。いろいろややこしいのだけれど。

でも、去年の箱と今回の箱を揃えればいい感じでスピナーズのアトランティック在籍時代のコンプリート感を味わえます。

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