Disc Review

Let’s Walk / Madeleine Peyroux (Just One Recording/Thirty Tigers)

レッツ・ウォーク/マデリン・ペルー

すごい久々。6年ぶり? マデリン・ペルーの10作目、出ました。

マデリンさんというとラリー・クラインがプロデュースしている印象が強いけれど、今回は長年組んできたギタリストのジョン・ヘリントンと、名匠エリオット・シャイナーとの共同プロデュース作。さらにマデリンさん、これまではレナード・コーエンやトム・ウェイツ、ランディ・ニューマン、ウォーレン・ジヴォン、ポール・マッカートニー、ボブ・ディランなど偉大な先達のカヴァーを必ずアルバムに収めてきた印象も強いのだけれど、今回は収録された全10曲、すべて彼女とジョン・ヘリントンの共作です。

“21世紀のビリー・ホリデイ”とか形容されることも多いマデリンさん独特の深く温かい歌声をナチュラルに包み込む控えめなアンサンブルもいい。へリントンのギターに加え、アンディ・エズリン(キーボード)、ポール・フレイジャー(ベース)、グレアム・ホーソーン(ドラム)らがバックアップ。フォーキーなもの、ブルージーなもの、ジャジーなもの、シャンソンふうのものなど、多彩な切り口で聞かせる。アルバム・タイトル・チューンはゴスペル調。キャサリン・ラッセル、シンディ・ミゼル、キース・フリットらによるコーラスもごきげんだ。

フランス語で歌われる「エ・ピュイ」で聞く者をパリの街角へと誘った直後、トロピカル風味の「ミー・アンド・ザ・モスキート」で国境の南へと思いを飛ばして、かと思えば切なくブルージーな「ナッシング・パーソナル」でとてつもなく痛い心情を吐露して、続く「ショウマン・ダン」ではシャッフル・ビートでぐいぐいグルーヴして、さらにスカっぽい「テイク・ケア」へ…という中盤から終盤の流れが最高にかっこいい。

あまりまだちゃんと把握できてはいないけれど、歌詞にはけっこう辛辣な社会的メッセージもそれなりに込められているような気も…。

やっぱただ者じゃないっすね、この人。

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