Disc Review

Ohio Players / The Black Keys (Easy Eye Sound/Nonesuch)

オハイオ・プレイヤーズ/ザ・ブラック・キーズ

金曜日はサブスクのストリーミングでニュー・リリースが公開される曜日で。毎週、超楽しみ。今週もヴァンパイア・ウィークエンドとか、オールド97ズとか、昨日軽く紹介したキャンド・ヒートとか、楽しみにしていた新作がいろいろどかっと出て。

特にこれ。ブラック・キーズの新作『オハイオ・プレイヤーズ』。アルバム・タイトルからしていきなりやばいし。“ノンサッチ自警団”のノージくんともども心待ちにしておりました。

2年前に出た前作『ドロップアウト・ブギー』にはZZトップのビリー・ギボンズ、レイニング・サウンドのグレッグ・カートライト、シエラ・フェレルらがゲスト参加していたけれど。今回は共同プロデュースをつとめたダン・ジ・オートメイターをはじめ、なんとベック、ノエル・ギャラガー、グレッグ・カースティンらが参加。

特にベックの存在感がでかくて。なんでもブラック・キーズ、20年前くらいにデビューしたころ、ベックのツアーのオープニング・アクトをつとめたりしていたらしく。そのときベックとキーズ、両者は一気に意気投合。いつか一緒にアルバムを作ろうと約束したのだとか。その20年越しの約束がようやくここで実現した、というわけだ。

キーズのダン・アワーバックとパトリック・カーニーは自分たちがDJとなって好きな古い45回転7インチ・シングルをかけまくる“レコード・ハング”というダンス・パーティを開催していて。そのときの雰囲気をレコード上で再現したかったとのこと。

なもんで、いつにも増してバラエティ豊かな音が楽しめる新作。従来のダーティなブルース・ロック路線一色でもなく、サイケデリック・ブギー路線で激走するわけでもなく、これまでもちょいちょい見え隠れしていたファンキーでグルーヴィなテイストを多彩な形で全編にわたって披露してみせた感じだ。

ベックとの共作による先行シングル「ビューティフル・ピープル(ステイ・ハイ)」とか「リヴ・ティル・アイ・ダイ」とか、ベックがヴォーカルをとって、スリー6マフィアのジューシー・Jがドスのきいたラップを聞かせる「ペイパー・クラウン」とか、まさに従来のブラック・キーズとベックと、それぞれの持ち味の中間あたりに位置する音作り。ブレイクのぶち込み方とかに、けっこう往年のベックっぽい感触が漂っていて胸が躍る。ノイジーなローファイ感みたいなものもふんだんで。

キーズの二人ってなんだかすごい長老みたいなイメージがあるもんでふと忘れがちになるのだけれど、彼ら今40歳代半ばで。ベックの10コ下くらい? ベックが1990年代半ばにアルバム『メロウ・ゴールド』とか『オディレイ』とかで提示した世界観に憧れていた世代なんだよなぁ…。

もちろんいかにもキーズらしい曲もあって。ファンキーなグルーヴでぐいぐい押しまくる「プリーズ・ミー(ティル・アイム・サティスファイド)」って曲とか、バックにこれでもか…ってくらいエルモア・ジェイムスみたいなスライド・ギターが鳴り響いていて。これは前作にもゲスト参加していたグレッグ・カートライトとの共作なのだけれど。こういう曲にも、ふとベックの「ルーザー」のイメージがよぎったり。

ウィリアム・ベルの「愛を忘れて(I Forgot to Be Your Lover)」のメロウなカヴァーもよいです。とにかく最高。まだ昨深夜に公開されたばかりなのであんまり何度も聞き込めてはいないけど、これからお仕事で遠出するので、移動の間、聞きまくるぞ! いい新譜があると、お出かけが楽しくなるね。

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