Disc Review

Strange Weather / Levitation Room (RAS/GREENWAY)

ストレンジ・ウェザー/レヴィテイション・ルーム

イーストLAを本拠に活動するレヴィテイション・ルーム。ネオ・サイケデリックっぽい切り口で1960年代ブリティッシュ・インヴェイジョンの躍動とか、ガレージ・ロックの混沌とか、ポップ・プログレの精緻さとか、“サマー・オヴ・ラヴ”の高揚とかをよみがえらせようとするアプローチがごきげんな4人組だ。

2019年にセカンド・アルバム『ヘッドスペース』をリリースしたっきり、新型コロナのパンデミック期、活動が停滞していたみたいだけれど。去年の夏あたりからいいペースで先行シングルがちょこちょこリリースされるようになって。特に11月ごろ出た「ヘヴン」って曲がごきげんだったものだから。新作アルバムの登場を心待ちにしておりました。

で、出ましたよ。ようやく。4年半ぶりのサード・アルバム『ストレンジ・ウェザー』。相変わらず浮遊感のあるコズミックでアシッドな音宇宙を聞かせてくれていて。ただ、音作りはこれまでの、どこかあえてチープさを残したバンドっぽいアプローチから、より周到に構築されたものになってきたみたい。今回ベーシストが代わったみたいだけど、そのあたりの変化も反映されているのかな。

フロントを担うジュリアン・ポートを中心に、新ベーシストを含むメンバー4人で全曲を共作。ブライアン・ジョーンズタウン・マサカーやビーチウッド・スパークスらとの仕事でおなじみのロブ・カンパネラとか、近年ブラック・クロウズに一瞬在籍したりもしていたジョエル・ロビナウとか、マイルド・ハイ・クラブやマリネロなどにも関わっていたジェイソン・キッドとか、そのあたりの仲間のサポートも受けつつポップでカラフルでスペイシーでドラッギーなサウンドを編み上げております。

公園での恋の風景を描いたり、人生なんて幻影だとメッセージしたり、内省を叙情的に綴ったり、マリファナの靄の中で迷子になったり…。西海岸ならではの瞑想感みたいなやつの伝統を彼らなりのやり口で受け継いでいるようで、なんだか面白い。時折よぎるフォーキーなピンク・フロイドというか、弱気なクイーンというか、そういうプログレっぽい色彩もほのかに素敵です。

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