Disc Review

Doom Singer / Chris Farren (Polyvinyl Records)

ドゥーム・シンガー/クリス・ファーレン

フロリダ本拠のパワー・ポップ/インディー・ロック系バンド、フェイク・プロブレムズとか、ブルックリンのスカ・パンク・ユニット、ボム・ザ・ミュージック・インダストリーのジェフ・ローゼンストックと結成したアンタルクティゴ・ヴェスプッチとか。いろいろ気になる活動を続けているクリス・ファーレン。

新作ソロ・アルバム、出ました。アンタルクティゴ・ヴェスプッチの活動と並行して自主制作されたファースト・ソロとか、去年、マーヴィン・ゲイの『トラブル・マン』に触発された架空のスパイ・スリラー映画のサウンドトラックという体でリリースされた『デス・ドント・ウェイト』とかも含めれば通算5作目のソロ・アルバムだ。

この人の場合、ソロ作は打ち込みを多用した一人多重録音でレコーディングするワンマン・バンド体制が多いのだけれど、今回は前出『デス・ドント・ウェイト』にも参加していた女性ドラマー、フランキー・インパスタート(ロング・アイランドのインディー・ロック・バンド、マクシールのメンバー)を迎え、さらにベッドルーム・ポップ系女性シンガー・ソングライターでボーイ・ジーニアスのサポートでも知られる“ジェイ・サム”ことメリーナ・デュテルテにプロデュースをまかせて、ぐっと外向きに開かれた1枚を作り上げてくれた。

なんでも今回のアルバムのために50曲くらい新曲を用意したとかで。さすがに曲も粒ぞろい。全曲、ファーレンとインパスタートの共作だ。個人的には中盤、4曲目の「オンリーU」から、表題曲の「トゥーム・シンガー」を経て、「スクリーンセイヴァー」「ファースト・プレイス」と続く流れがごきげんに好き。ポップでキュートで。シックスティーズ流儀のコーラス・ハーモニーもいい。

ベル・アンド・セバスチャンやカメラ・オブスキュラあたりを経由してたどり着いたらしきヴァーチャルなオールディーズ風味というか。その幾重かフィルターがかかったレトロ感が興味深いです。メリーナさんもいい仕事してます。レコーディングの技術的な事柄も含め、もろもろの判断を彼女にまかせたことでファーレンさんのほうは雑事に惑わされることなく自身のいいところをぎゅっと凝縮して表現することができた、みたいな?

歌詞もシニカルではあるものの、どこか楽観的で、でもずっと奥の奥にはやっぱりなんだかダークな自虐も見え隠れしていて…。いいソングライターだと思います。

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