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Disc Review

Songs Without Jokes / Bret McKenzie (Sub Pop Records)

ソングズ・ウィズアウト・ジョークス/ブレット・マッケンジー

けっこう洗練されたセンスのいいサウンドに乗せて、ひょうひょうと、シニカルなギャグをぶちかます人気コメディ・ミュージック・デュオ、フライト・オヴ・ザ・コンコーズの一員としてもおなじみ、ニュージーランド出身のコメディアン/俳優/映画音楽作家/ポップ・クリエイター、ブレット・マッケンジーの初ソロ・アルバム、出ました。

まあ、フライト・オヴ・ザ・コンコーズの妙なおかしさってのは英語の歌詞がわからないとちょっと理解しづらいところがあって。数年前出たライヴ盤とか聞いていても、英語力が頼りないぼくなど、観客がドッと湧いているところでぽつんと取り残されちゃった感を強く味わわざるを得なかったり、理解するまでに時差が生じちゃったり…。いろいろ微妙だったりするわけですが。

今回は“ジョークなしの曲集”という、これまたなんともジョークっぽいアルバム・タイトル通り、とりあえず音的にはまっすぐなポップ・アルバムに仕上がっていて。歌詞も、まあ、言い回しとかはこの人らしいちょっとひねくれた表現もあるとはいえ、コンコーズの諸作に比べれば素直。なもんで。いつもよりは気楽に接することができました。情けなくも、うれしい(笑)。コンコーズでも相方のジェマイン・クレメントとともに多彩な音楽ジャンルを自在に行き来する曲作りを聞かせていたブレットさんだけに、本作でも様々なタイプの楽曲が楽しめる。

わりとひねりなくフツーのポップ・チューン目指したみたいな仕上がりの楽曲もなくはなく。もちろんそういうのも素敵ではあるのだけれど、どちらかというと、「ジス・ワールド」とか「キャリー・オン」とか「ア・リトル・チューン」とか、ハリー・ニルソンっぽかったりランディ・ニューマンっぽかったり、その種の独特のユーモア感覚をたたえた偉大な先達からの影響を強く受け継いだ感じの楽曲群。こちらのほうがこの人の素養がいいバランスで発揮された曲ってことになりそうだ。

ラストを締めくくる「クレイジー・タイムズ」って曲とか、ロサンゼルスでのクレイジーな日々に懐かしく思いを馳せる、少しこじれ気味に切ない1曲で。こういう味は悪くないです。

「コンコーズとして活動したあと、2011年に映画『ザ・マペッツ』のための曲を作ったんだけど、そのセッションのとき、ふと思ったんだ。誰かのために作るのではなく、特に物語を語る必要もなく、面白くしなきゃいけないわけでもなく、プロットに沿ったり、登場人物の役柄を気にすることもない、いつかそんな曲を作れたら楽しいだろうなって。そんなレコードが作れたらなって」

とか、ご本人は語ってます。その夢を果たしたのが本作ってことになるのかな。豊かな音楽性と軽やかなユーモア感覚を併せ持つシンガー・ソングライターの本格的ソロ活動の第一歩という感じです。

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