Disc Review

Take It Like a Man / Amanda Shires (ATO Records)

テイク・イット・ライク・ア・マン/アマンダ・シャイアズ

高齢者なもんで。ワクチン4回目接種しましたよ。接種個所、触れるとちょっと痛い程度で、それ以外特に支障はないけれど。いつまで続けなきゃいけないのかなぁ。大変な時代を体験させられることになっちゃったなぁ。

フジロックとかも有観客で実現したことだし。年末に向けて次々と来日アーティスト情報も発表されてきて。以前の感じに戻るのかな。ぼくも来日予定のアーティストのチケットとかあれこれ手に入れて胸ときめかせてはおりますが。まだまだ予断を許さない状況。早く平常に戻ってほしいです。まじに。平常がどんなだったか、ちょっと忘れかけてますが(笑)。

このパンデミックが本格的に巻き起こる前、すべり込みで見ることができた来日アーティストの公演というと、ぱっと思い出すのが2020年1月のボン・イヴェール@Zepp東京と、ジェイソン・イズベル@ビルボード・ライヴ東京。もう2年半前だ。どっちも素晴らしかった。特にジェイソンさん。ご存じ、アメリカーナ〜ルーツ・ロック系シンガー・ソングライターですが。自らかき鳴らすアコースティック・ギターと、フィドルとコーラスを担当するパートナーと、二人だけによるライヴで。これがものすごく心にしみる、歌の力のようなものを思い知らせてくれる一夜だったっけ。

で、そのとき、フィドルとコーラスでがっちりジェイソンを支えていたパートナーというのが、ジェイソンのバンド、ザ・400ユニッツのメンバーでもあり、ブランディ・カーライルらとともにハイウィメンを構成する重要メンバーでもあり、さらにジェイソンの奥さまでもあるアマンダ・シャイアズ。この夫婦、来日時けっこう日本を堪能したようで。インスタとかに滞在をハッピーに満喫している様子がアップされていたっけ。

で、そんなアマンダさんの新作が出ました。アマンダさん、ソロ名義でもたくさんアルバムを出していて。特に2016年の『マイ・ピース・オヴ・ランド』は高く評価されいろいろ賞も獲得したり。デイヴ・コブがプロデュースした2018年の『トゥ・ザ・サンセット』も手応えたっぷりの仕上がりだったし。そのころ、ジョン・プラインのサポートをしたり、前述した通りブランディ・カーライル、ナタリー・ヘムビー、マーレン・モリスらとハイウィメンの一員として活動したり。

そんな流れを受けて、ジェイソン・イズベルとの夫婦来日も実現したわけだけれど。ほどなくパンデミックで閉じこもらざるを得なくなって。その時期、ほぼすべての時間をこのソロ名義による7作目の新作につぎこんでいたのだとか。

プロデュースはエンジェル・オルセンとかも手がけているローレンス・ロスマン。ジムボー・ハート(ベース)、ピーター・レヴィン(キーボード)、そしてもちろんジェイソン・イズベル(ギター)ら長年の仲間たちも参加している。ということで、基調となっているのはこれまで同様、アメリカーナ的、あるいはオルタナ・カントリー的な音楽性ではあるのだけれど。幅広く多彩なミュージシャン陣と交流を持ってきた経験が活かされているのか、アルバム後半に向かうに従ってこれまで以上に音楽的な幅が広がっていく。

「ヒア・ヒー・カムズ」のようなタートルズっぽいマイナー・シャッフルものもある。「ステューピッド・ラヴ」のようなブルー・アイド・ソウル・テイストをちょっぴりまぶしたものもある。「ロンリー・アット・ナイト」のような、どこかバート・バカラック風味をたたえたワルツもある。ハイウィメン人脈が協力した曲もけっしてありきたりなカントリー調に終わっていない。マーレン・モリスがコーラスで参加した「エンプティ・カップス」も、ナタリー・ヘムビーとアマンダさんの共作によるラスト・チューン「エヴリシング・ハズ・イッツ・タイム」も、ぐっとメロウなポップ感覚を漂わせていて。面白い。

ちなみに歌詞のほうは思いきりパーソナル。アマンダさんはこのアルバムについて、“このレコードに収めたものはすべて自伝的なもの。ためらいはなかったわ”とか語っていて。かなりダークな内省へと踏み込みつつ赤裸々に吐露してます。私生活でもいろいろ深刻な出来事を多く体験した時期でもあり、そうしたもろもろをきっちり反映した仕上がりということか。けっこう官能的なものもあって。オープニングの「ホーク・フォー・ザ・ダヴ」では、いきなり“あなたが話している姿は見えるけど/私の耳には何も聞こえない/私の上にこんなふうに乗ってほしいと想像するのに夢中で…”とか歌ってるし。“あなたのことしか考えていないけど/でも、見知らぬ男に惹かれるの…”とか歌う「バッド・ビヘイヴィアー」みたいな曲もあるし。

バックでギター弾いてる夫、ジェイソンの気持ちはいかばかりか…的な?(笑)

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