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Disc Review

Hey Doll Baby / The Everly Brothers (Rhino Records)

ヘイ・ドール・ベイビー/ジ・エヴァリー・ブラザーズ

ビートルズも、ビーチ・ボーイズも、サイモン&ガーファンクルも、グラム・パーソンズも、ボブ・ディランも、ニック・ロウも、デイヴ・エドモンズも…。もう、みーんな軒並みとてつもなく大きな影響を受けているエヴァリー・ブラザーズ。ロックンロールの偉大なオリジネイターのひと組として絶対に無視できない兄弟デュオですが。

それだけにこれまでにもたくさんのコンピレーションが編まれてきた。米ライノ・レコードとか独ベア・ファミリーなどがコンパイルした充実のボックスセットも多数。わが家にも、LPだったり、CDだったり、カセットだったり、ずいぶんとたくさんのエヴァリーズ・アンソロジーがレコード棚を占拠しているのだけれど。

またひとつ、コンパクトではあるものの、なかなか手応えを感じさせてくれる17曲入りベストが出ました。それが本作『ヘイ・ドール・ベイビー』。もともとは今年4月のレコードストア・デイに限定アナログLPとして世に出たものだけれど、いよいよそれが一般発売されましたよ。レコードストア・デイのLPはAB面それぞれ8曲ずつの16曲入りだったけれど、今回出たCDやLPはなんと1曲増量の全17曲入り。レコードストア・デイに買いそびれていた身としては、むちゃうれしいです。

これ、編纂しているのがトム・ペティの娘さん、ミュージック・ビデオやドキュメンタリー・フィルムの監督とか多彩な仕事でもおなじみのエイドリア・ペティ。ドンとフィルのエヴァリー兄弟と深い交流があった父親のおかげで、エイドリアも彼らと個人的なお付き合いがあったそうで。そんな貴重な存在でもあるエイドリアがキュレーターとなって編まれたのが今回の『ヘイ・ドール・ベイビー』だ。

特に初出の未発表音源があるというわけではない。逆に、有名どころの楽曲をすべて含んでいるとか、そういうわけでもない。

内容的には、ふと見逃されがちなアルバム・トラック(「ザッツ・ジャスト・トゥー・マッチ」「メイド・トゥ・ラヴ」「サイ、クライ、オールモスト・ダイ」「ラヴ・ハーツ」)と、ごきげんなカヴァーもの(タイタス・ターナーの「ヘイ・ドール・ベイビー」、ジミー・リードの「ベイビー・ホワット・ユー・ウォント・ミー・トゥ・ドゥ」、チャック・ベリーの「メイベリーン」、ジョニー・キャッシュの「アイ・ウォーク・ザ・ライン」、そして今回1曲増えたフィエスタズの「ソー・ファイン」)と、ちょっと渋めのヒット曲あれこれ(「ホエン・ウィル・アイ・ビー・ラヴド」「マスクラット」「ゴーン・ゴーン・ゴーン」「ウォーク・ライト・バック」「(ティル)アイ・キスト・ユー」「キャシーズ・クラウン」「ディヴォーテッド・トゥ・ユー」「ソー・サッド」)。

このひとくせある選曲で、ソリッドでタイトで、でもキュートでロマンチックなエヴァリーズの魅力をざっくり駆け足で追体験してもらおう、というエイドリアの思いがこめられた仕上がりだ。まあ、普通のヒット曲集とか、全部入りアンソロジーとか、そういうものが多数存在しているエヴァリーズだけに、こういうパーソナルな思いをたたえたコンピレーションも悪くない。

以前、本ブログではエヴァリー兄弟のカントリー・ロック期、1966〜1968年のアルバム3作をまとめた『ダウン・イン・ザ・ボトム:ザ・カントリー・ロック・セッションズ』というやつを紹介したことがあったけれど。本作はそれ以前の音源集。1958〜1960年、ケイデンス・レコード在籍時の音源が4曲、その後ワーナー・ブラザーズに移籍して以降、1965年までの音源が13曲。エヴァリーズにとって重要なソングライターのひとりだったボードルー・ブライアントの作品あり、ドン、フィルそれぞれのオリジナルあり、兄弟の共作あり、彼らの趣味を教えてくれるカヴァーあり。フィルとドン、二人の才能に改めて、気軽に接するには絶好のセレクションという感じだ。

どのトラックもクリス・ベルマンがバーニー・グランドマンで最新リマスタリング。2014年に亡くなったフィルの奥さま、パティさんと息子のジェイソンが楽曲解説を手がけていたり、昨年夏に亡くなる前にドンが奥さまアデラさんとともに編集に関わっていたり。さらにはエイドリアを通じて父トム・ペティの深い深いエヴァリーズへの愛情が感じられたり。さまざまな意味合いで“家族の絆”のようなものを感じさせてくれる1枚ではあります。

ちなみに、ノージくんに教えてもらったのだけれど、このアルバムのリリースを記念して、6月19日には“『ヘイ・ドール・ベイビー』ヴァーチャル・フェスティヴァル”なる催しがエヴァリーズの公式YouTubeやトム・ペティのシリウス・ラジオ・ステーションなどを通じて配信されたみたい。で、今もグレアム・ナッシュ&クリス・スティルスの「ソー・サッド」クリス・アイザック&ニコール・アトキンスの「スウィート・ドリームズ」ミルク・カートン・キッズの「スリープレス・ナイツ」のカヴァーをそれぞれ見ることができます。しびれます。

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