Disc Review

Dear Old West / Awkward Family Portraits (Holy Smokes)

ディア・オールド・ウェスト/アークワード・ファミリー・ポートレイツ

2016年ごろ、英グラスゴーで結成されたアークワード・ファミリー・ポートレイツ。最初のころはストリートを舞台に、ジャンプ・ブルース、ロカビリー、カントリー、ウェスタン・スウィング、ホット・クラブ・ジャズといったルーツィなグッドタイム・ミュージックを演奏しまくっていたようで。

2017年にインディーズで6曲入りのEPを制作。その後、新人発掘に力を入れているスコットランドのオンライン音楽プラットフォーム、テネメントTVの目にとまったのをきっかけに、レトロな歌姫、カラ・ローズをフィーチャーした「ベイビー・ブルー」と、同郷グラスゴーのダニエル・ミードがストライド・ピアノで客演した「プリーズ・ベイビー・プリーズ」のカップリング・シングルをリリース。

徐々に注目度を高めつつ、2019年にはクラウド・ファンディングで資金を集めてファースト・アルバム『エヴリシング・ウィーヴ・ダン・アップ・アンティル・ナウ・エクセプト・ホワット・ウィーヴ・ダン・シンス』を出して。でもって今年、めでたくセカンド・フル・アルバムにあたる本作が出た、と。

折々の映像をYouTubeで探して見てみると、ギター+バンジョー+ベース+パーカッションという4人組だったり、ギター×2+ベース+ドラム+フィドルという5人組だったり、ギター×2の2人でやっていたり、ギター+ベース+フィドルのトリオだったり…。編成はいろいろ。どうやらギター&ヴォーカルのジュレン・サンタマリアがいれば、あとは全員参加していなくてもアークワード・ファミリー・ポートレイツになる、と。そういうことみたい。

今回も基本はジュレン・サンタマリア(ヴォーカル、ギター)、ティミー・アレン(ギター、ヴォーカル)、アンドルー・ヘリントン(ウッド・ベース)、クリス・ディッキー(ドラム)、ルー・ゲッデス(フィドル)という5人編成のようだけれど。曲によってピアノが入ったり、ノコギリが奏でられたり、ドラムが抜けたり、いろいろとフレキシブル。

ウェスタン・スウィングやホット・クラブ系のグルーヴを基調に、マカロニ・ウェスタン映画のサントラっぽいアプローチとか、テックス・メックス的なムードとか、牧歌的なカントリー味とかを縦横にまぶした感じというか。英国から憧れに満ちた眼差しで米国の西部開拓時代および彼の地のグッドタイム・ミュージックを幻視しつつ、時空を超えたノスタルジアをベースに編み上げた1枚に仕上がっていて。ごきげん。

ダン・ヒックスとか、ジム・クウェスキンとか、レオン・レッドボーンとか、ルー・ロンドンとか、アスリープ・アット・ザ・ホイールとか好きな方には絶好です。今のところデジタル・リリースのみ。フィジカルはバンドキャンプで扱っているけど、アナログは9月だとか。CDもあるようだけれど、まだ出てないっぽいです。とりあえずはストリーミングあるいはダウンロードでね。

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