NBPファイル vol.4:ツーファイブ進行
今週もプレイリスト、続けてやってみます。日付にまつわるプレイリストってパターンもあるなと思って。今週はそれ、いきます。
つまり、2月3日のプレイリスト。2月3日というのは、たぶんすべてのロックンロール・ファンにおなじみの日付で。1959年のこの日、のちに映画『ラ・バンバ』でも描かれることになるロックンロール史上もっとも悲劇的な飛行機事故が起こった。この事故でバディ・ホリー、リッチー・ヴァレンス、ビッグ・ボッパーという3人の若きロックンロール・ヒーローが命を失い、ドン・マクリーンはそれを名曲「アメリカン・パイ」の中で“音楽が死んだ日”と形容した。
なので一瞬、今日はそれ絡みの追悼プレイリストを…とも考えたのだけれど、ちょっと悲しい気がして。何か他にないかなと、2月3日にまつわるエピソードをつらつら眺めていたら。ものすごく細かい話ではありますが。リン・アンダーソンの「ローズ・ガーデン」にまつわるエピソードを発見しましたよ。
「ローズ・ガーデン」。懐かしいっすね。例の往年のヒット歌謡の元歌としてもおなじみ、“♪アーイベッギョパードン…”ってポップ・カントリー・ヒット。あの曲、発売は1970年10月8日だったけれど、それが大ヒットして翌1971年にかけて全米ポップ・チャート最高3位、カントリー・チャート1位に輝いて。でもって1971年のこの日、2月3日にゴールド・ディスクに認定された、と。そういう日だそうで。
で、こりゃいいってことで、「ローズ・ガーデン」がらみのプレイリストを作ろう、と。で、思いついたのが、これまた超細かいテーマ、IIm(ii)→Ⅴ進行特集(笑)。
「ローズ・ガーデン」って曲の場合、キーはCで。普通ならば歌い出しのコードはトニックのCになるはずなのだけれど、あの曲の場合、イントロの最終小節でブレイクして“I beg your…”と歌い出されたあと、ヒラ歌アタマの“ pardon…”ってとこがIIm(Ⅱ度のマイナー、iiと表記したりも)に当たるDmなのでした。そこから、V7(いわゆるドミナントのセヴンス、属七)を経由してトニック、主和音のIに向かってDm→G7→Cと進行していくわけですが。
こういう、II度マイナーからⅤへ移行するコード進行のことを“ii→Ⅴ(ツーファイブ)進行”とか言ったりして。何というか、ちょっとしゃれた感じの、新鮮なテイストを曲に与えてくれたりするもんで。ジャズはもちろん、ポップスの世界でもちょいちょい使われたりもする。
で、この進行がいきなり曲アタマから使われている曲ってのがけっこうあるので。今回のプレイリストはヒラ歌の歌い出しがii→Ⅴ進行になっている曲のセレクション。何だかよくわからないテーマだけど(笑)。聞けば雰囲気つかんでもらえるかも。
ビーチ・ボーイズの「ダーリン」みたいに、サビ始まりなので、ドアタマはトニックでスタートするものの、その後、ヒラ歌のアタマでii→Vになる曲とかも入ってます。本当はMFQで入れたかった「ジス・クッド・ビー・ザ・ナイト」とか、ニック・デカロで聞きたかった「二人でお茶を(Tea for Two)」とかはストリーミングされていないので、代替案で。そんな感じですが、でも、これはこれで悪くない。何がテーマかわからなくてもいい曲ぞろいのプレイリストかも。
珠玉のツーファイヴ感覚、お楽しみください。
- Rose Garden / Lynn Anderson (1970) (Amazon / Tower)
- Kind of a Drag / The Buckinghams (1966) (Amazon / Tower)
- Darlin' / The Beach Boys (1967) (Amazon / Tower)
- He's So Fine / The Chiffons (1963) (Amazon / Tower)
- And It Didn't Even Bring Me Down / Sir Douglas Quintet (1969) (Amazon / Tower)
- For the Good Times / Ray Price (1968) (Amazon / Tower)
- Satin Doll / The Impressions (1964) (Amazon / Tower)
- I Saw the Light / Todd Rundgren (1972) (Amazon / Tower)
- It Never Rains In Southern California / Albert Hammond (1972) (Amazon / Tower)
- All My Loving / The Beatles (1963) (Amazon / Tower)
- This Could Be The Night / Jeffrey Foskett (1997) (Amazon / Tower)
- Tea for Two / Doris Day (1950) (Amazon / Tower)