Disc Review

Love & Justice / Grace Victoria (self-released)

ラヴ&ジャスティス/グレイス・ヴィクトリア

年末のCRTでも話したことなのだけれど。ぼくは今、ジョニー・スティムスソンってシンガー・ソングライターにけっこうハマっていて。とはいえ、その存在を知ったのがかなり“遅ればせながら…”って感じだったこともあり、本ブログでは紹介しそびれたままになっている。

知ったきっかけは、BTSのVがInstagramだかNaverだか、SNSでスティムソンの「スマイル」って曲をかけながら勝手にデュエットした映像をシェアして話題になっていたこと。いやー、おじさん、世代的にSNS文化にはあまり深入りしていないもんで。気づくのがだいぶ遅くなってしまったのでした。でも、つくづく思う。そういう時代なんだなぁ…。

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で、今朝の主役。今年の元旦に晴れてデジタル・リリースがスタートしたこちらのアルバム『ラヴ&ジャスティス』。歌っているシンガー・ソングライター、グレイス・ヴィクトリア嬢も去年のアタマ、TikTokでブレイクした人だ。ニューヨークのバーナード大学に在籍している学生さんのようだけれど、もともとはヴァージニア育ち。音楽一家で育ったらしく、幼いころから多彩な楽器に親しみながら成長。曲作りも4歳のころから始めたという。そういう意味じゃ、まだ若いながら経験もすでにばっちり。本作は、そんな彼女が2020年ごろからちょこちょこシングル・リリースしてきた楽曲も含むファースト・フル・アルバムだ。

オープニングを飾る「ダウン・イン・ヴァージニア」はちょうど1年前、2021年の元旦にシングルとして公開された曲で。Spotifyとかでかなりの再生回数を稼いでいた。ちょっとジャジーで、ボサノヴァっぽくて、メロウ。そんなサウンドとメロディに乗せて、黒人女性である彼女が故郷で体験した出来事を起点に、根強くはびこる差別のこととかジェンダー問題とかを綴った1曲だった。2020年5月、ジョージ・フロイド殺害事件の時期に書かれたものだとか。

続く2曲目、2020年秋に初公開された「ブラック・ルックス・ベター・オン・ミー」はいわゆる“ブラックフィッシング”、つまり白人たちが肌の色を濃く見せることへの疑念を呈しつつ、同時に黒人文化へのリスペクトを主張する曲。

でも、そうしたラディカルな主張を歌詞に託しながらも、音楽的にセンスのいい世界観を構築しているところがなんとも素敵だ。去年の夏ごろシングルで配信された「ギルティ」という曲とか、ランディ・ニューマンとかルーファス・ウェインライトとかを想起させる名曲だった。

今年も若い女の子の才能、次々出てきそう。楽しみだけど。さすがにおじさん、やっぱTikTokまではチェックしきれないかなー。楽しみ方の勘所がわからない…(笑)。

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