1983年のことと、CRTのことなど
基本的に土日はブログ更新をお休みにしているのだけれど。いつものディスクレビューではなく、明日、月曜日のイベントのお知らせを兼ねて、軽い更新です。
今、TBSのCS放送で『ザ・ベストテン』の再放送とかやっていて。今夜、9月5日の午後9時から1983年1月27日放送分が流れる。18日午後6時からも再々放送されるみたい。見られる環境にある方、ぜひチェックを! この回、今年のアタマにも再放送されていて、それを見たのだけれど。もう、最高に混沌としていて。ちょっと楽しかった。
スタジオに本物の雪が運び込まれていて、久米さんが黒柳さんの胸にその雪をぶちこむとか(笑)。今ではコンプラ的にあり得なそうなひと幕もあったり。懐かしいというより、今の目線でぶっとびながら、ちょっと引き気味に盛り上がってしまったものです。
なんでも『ザ・ベストテン』史上もっとも多くの1位を獲得しているのは中森明菜らしく。この週は彼女が「セカンド・ラブ」で自身の最高得点、9999点満点中9839点を叩きだした記念すべき回。そんなとてつもない記録を出した瞬間であるにもかかわらず、明菜ちゃんは軽井沢だかどこかのスケートセンターの外で、防寒着に身を包み、まともなモニターもなさそうな状態で、白い息を吐きながら歌わされていて。ずいぶんな扱いだなぁ、でもそんな感じだったよなぁ…と、なんだか遠い目になってしまった。
で、2位が中村雅俊の「恋人も濡れる街角」。なんか歌謡ドラマみたいな寸劇も盛り込まれていたっけ。他にも森進一の「冬のリヴィエラ」とか、河合奈保子の「Invitation」とか、柏原よしえの「春なのに」とかも上位10位内にランクしていて。
『ザ・ベストテン』は曲名のテロップに作詞作曲家もクレジットされているのだけれど。それ見ると面白い。明菜ちゃんのが来生たかお、中村雅俊のが桑田佳祐、森進一のが松本隆&大瀧詠一、なおなおのが竹内まりや、よしえちゃんのが中島みゆき。
そういう時代が到来していた。当時の日本の流行歌のメインストリームには、いわゆる職業作家のセンセーたちががっちり支える歌謡曲という文化が君臨していて。でも、それまではそのサブストリームに位置していたはずの“ニュー・ミュージック”フィールドのアーティストたちが、垣根を超えて歌謡曲畑のシンガーたちに楽曲提供することも増えてきて。それがどんどん当たり前になってきた時代。
それに対して、確かこの週のベスト10圏外ランキングにも名を連ねていたと思うのだけれど、稲垣潤一のような、どちらかというとニュー・ミュージック・フィールドから出てきたようなシンガーに対してバリバリの職業作家である筒美京平が名曲「ドラマチック・レイン」を提供していたり。
この時期にぐしゃっと地殻変動が起こって、以降の1990年代、そして21世紀、その新しい地図をもとに日本のポップ・ミュージック・シーンが構築されていくことになる。でも、当然、この週の『ザ・ベストテン』では並行して大川栄策がタンス抱えて「さざんかの宿」を歌っていたり、ヒロシ&キーボーの「3年目の浮気」が大当たりしていたり…。
そんなわちゃわちゃした1983年をテーマにお届けするのが、明日、9月6日に無観客・有料配信になる『CRT & レココレ presents, vol.259:〈新宿シティポップ井戸端会議 #04〉還暦前夜! ナガシのサハシ特別編〜啼くよUGUISS 1983年の思い出〜』です。
この年の9月、EPICソニーからデビューを飾ったUGUISSの中心メンバー、佐橋佳幸をゲストに迎えて、いつものCRTのMC3人(萩原健太、レココレ祢屋編集長、能地祐子)とともにリアルな1983年の音楽シーンを深掘りしようという夜です。配信内でスペシャルなストリーミング・プレイリストも公開予定。アンコール配信もありますので、本ブログ内のCRT告知欄とかリンク先とかをチェックして、ぜひぜひこぞってご参加ください。
と、そんなイベントの告知エントリーでありました。
いやー、1983年、おもしれー。みんなでいろいろ思い出すぞー! 楽しみです。1曲、いつものように映像も貼っておきますね。この年、デヴィッド・ボウイの「レッツ・ダンス」への参加で話題を集め、自らもデビュー・アルバム『テキサス・フラッド』をリリースしたスティーヴィー・レイ・ヴォーン。燃えます! マイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」とか、ポリスの「見つめてほしい」とか、カルチャー・クラブの「カーマは気まぐれ」とかとともに、こんなルーツィなブルース・ロックが帰ってきた年でありました。