Disc Review

CHICKABOOM! Deluxe / Tami Neilson (Outside Music)

チカブーム! デラックス/タミー・ニールソン

去年、本ブログでも紹介したタミー・ニールソンの『チカブーム!』ってアルバムの、発売1年を祝したデラックス・エディションが、ストリーミング+ダウンロードのみのデジタル・リリースではあるものの、出たもんで。それ、紹介しておきます。

タミー・ニールソンは現在ニュージーランドを本拠に活躍するホットなロッキン・ディーヴァ。このアルバム、去年の2月にリリースされた後、『モジョ』とか『ローリング・ストーン』とか『アメリカン・ソングライター』とか『ノー・デプレッション』とか、ルーツ・ロック寄りの各音楽誌からけっこう高評価をゲットして。2020年はタミーの年になるかも…みたいな盛り上がりがあったのだけれど。ほどなく新型コロナウイルス禍でニュージーランドがロックダウンに突入。計画されていたタミーさんのワールド・ツアーもすべてキャンセル。国内ツアーも3回リスケジュールされるなど、まあ、誰もがそうだったのだろうけれど、ほんと大変だったみたい。

でも、そんな中、タミーさんはけっしてポジティヴさを失うことなく、2度のロックダウンの狭間を利用して、ニュージーランドといえばこの人、クラウデッド・ハウスのニール・フィンが所有するラウンドヘッド・スタジオ入り。4カ月ぶりに再会したレギュラー・バンドの面々とともに“レディオ・ニュージーランド”のための一発録りライヴ・セッションを行なった。曲によっては12人編成のビッグ・ボス・オーケストラの管弦も加わった。

今回出た『チカブーム!』のデラックス・エディションは、アルバム本編に、そのラウンドヘッド・スタジオで録音された5曲を新たに加えた構成になっている。去年、このブログで『チカブーン!』を紹介したとき、“3分台は1曲のみ。あとは全部2分台。全10曲で27分。大滝さんのファーストみたいだな(笑)”と書きましたが。今回新たに5曲が加わって、全長40分ちょいに延びました。

追加されたスタジオ・ライヴ5曲のうち、「コール・ユア・ママ」と「ユー・ワー・マイン」が『チカブーム!』の収録曲。「ウォーク(バック・トゥ・ユア・アームズ)」が2014年のアルバム『ダイナマイト!』のオープニングを飾っていた曲。「ア・ウーマンズ・ペイン」は2018年のアルバム『サッサフラス』の収録曲。

「ロイマタ(クライ・マイセルフ・トゥ・スリープ)」は、2019年にニュージーランドでリリースされた『ワイアタ(アンセムズ)』というコンピレーションからの1曲。ニュージーランドの先住民マオリの言語を見つめ直そうという“マオリ語週間”というのがあって、それを祝してニュージーランドのビッグ・スターたちが結集。1曲ずつマオリ語で歌った曲を収録したアルバムだった。

面白そうなのでちょっと調べてみたら、なんでも、1999年に英国で行なわれたラグビーのワールドカップ準々決勝、オールブラックスの試合の前に、ニュージーランドの女性シンガー・ソングライター、ヒネウェヒ・モヒが英語ではなく初めてマオリ語でニュージーランド国歌を歌って物議をかもしたときから20周年…というタイミングで企画されたものだとか。

と、そんな豆知識まで仕入れるきっかけとなった本デラックス・エディション。しかし、この感じで“デラックス”って付くと、マツコっぽさが、こう、ぐっと…(笑)。

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