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Disc Review

The Prettiest Curse / Hinds (Mom+Pop Music/Lucky Number)

ザ・プリティエスト・カース/ハインズ

スペインのガールズ・バンド、ハインズ。新型コロナウイルス騒ぎで発売が延期されていたサード・アルバムが、ようやく出ました。またまた来日して出演することになっていたフジロックは中止になってしまったけれど、アルバムのほうは無事に登場。うれしいっすね。

過去の2作、2016年のファースト『リーヴ・ミー・アローン』、2018年の『アイ・ドント・ラン』と比べると、バック・トラックの構築がずいぶんとしっかりしてきた。プロっぽくなってきたというか。『アイ・ドント・ラン』の段階でも、ずいぶん演奏がしっかりしてきたなと思ったものだけれど、今回ももっと。飛躍的。ジェニファー・デシルヴェオにプロデュースをまかせて、けっこうがっちり音作りしている。

デビュー当初のヘタウマな…いや、“ウマ”のほうがまるでない感じの、あの脱力系バンド・サウンドの衝撃はまったくなくなってしまったわけで。その辺を寂しいと思うファンも多そうだ。

でも、そういう魅力はあくまでも“飛び道具”的なもの。バック・トラックがよりしっかりしたことで、ガレージ・ロック的な感触がぐっと減って、1960年代ガール・グループっぽいニュアンスが強まった。それによって彼女たちの奔放というか、のびのびしすぎというか、おてんばというか、ユルかわというか、持ち前の個性がさらにストレートに楽しめるようになった気もする。カルロッタとアナのヴォーカルのやりとりもますます効果的になってきたし。

個人的にはこの変化は大歓迎。成長と呼ばせていただきましょう。ブロンディが急に「ハート・オヴ・グラス」とかやりだしたときの感じ…とか言ってわかってくれそうなのはぼくと同年配のお古いポップス・ファンだけか(笑)。

ビートを強めることで逆にメロディのメロウさを効果的に伝えるオープニング・チューン「グッド・バッド・タイムズ」とか「ボーイ」とか、デビュー以来ヘタだの何だの言われたことに“ニャニャニャニャ〜”と楽しそうに反撃するガーリィなパーティ・ロックンロール「ジャスト・ライク・キッズ(ミャウ)」とか、曲後半のオルタナでサイケなカオスめがけて突き進むグランジっぽい「ライディング・ソロ」とか、そういう元気系のものだけでなく、前作で言うと「ソバーランド」とか「リンダ」みたいなタイプの、切なくキュートな面を受け継いだ「カム・バック・アンド・ラヴ・ミー <3」とか「ジス・モーメント・フォーエヴァー」とか…。好感度たっぷりの曲ぞろい。

すべてバンドのオリジナル。ジェン・デシルヴェオの手腕も大いに発揮されているのだろう。あの手この手、アイディアをふんだんに詰め込んだジャングリーでポップな今様バブルガムって感じだ。シュワッと爽やかなソーダ・ポップ、炭酸強めに注入しました、みたいな。

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© 2020 Kenta Hagiwara