Disc Review

Carnaby Street Soul West Coast Vibes / Graham Dee and others (Acid Jazz)

カーナビー・ストリート・ソウル・ウェスト・コースト・ヴァイブズ/グレアム・ディー、マキシン、マイク・ベリー、レニー・ホワイト、トニー・リヴァースほか

以前、1977年にリリースされたグレアム・ディーのソロ・アルバムのデジタル・リイシュー・ヴァージョンを紹介したことがあったけれど——

Make the Most of Every Moment / Graham Dee (Acid Jazz Records)

そこでも書いた通り、この人、もともとは裏方さんだ。1960年代に自分のバンドをいくつか結成したり解散したりしたあと、セッション・ミュージシャンとして活動を開始。のちにレッド・ツェッペリンを結成することになるジミー・ペイジやジョン・ポール・ジョーンズらとともにロンドンで多彩なスタジオ・ワークをこなしてきた。

スタジオ以外でも、ジョン・リー・フッカー、エルキー・ブルックス、ウォーカー・ブラザーズ、カール・パーキンスなど幅広いアーティストたちのツアーをサポートしたり。ピンク・フロイドでシド・バレットの代役を務めた経験もあるらしい。ヴァン・モリソンからゼムに入らないかと誘われたことも何度かあったとか。

と同時に、ユナイテッド・アーティストやATVなどのスタッフ・ソングライターとしても活躍。ピックウィックス、アップルジャックス、ライオット・スクアッド、ストーリーテラーズ、バーバラ・ルイス、トニー&タンディなどに多くの楽曲提供をし、“ミスター・ティン・パン・アリー”と呼ばれたりもしていたという。英ポリドール/アトランティックではプロデューサー/エンジニアとしても多くのスタジオ・ワークをこなしている。

ただ、なんでもスタジオで拳銃の早撃ちの練習をしていて、暴発させてしまい、いろいろな機器を壊してしまったとかなんとか…。よくわからないけど(笑)、とんでもないことをしでかしてクビになって、1970年代に渡米。

病気も抱えていたようで、これを機会に多忙すぎる日々から逃れ、メンフィスやナッシュヴィル、ロサンゼルスを転々としながらマイペースで音楽活動するようになった。そのころ何枚かソロ・アルバムなども録音している。以降、現在に至るまで音楽活動を継続。近年は英国のシンガー・ソングライター、リチャード・サットンと組んで曲作りを続けているそうだ。現在77歳。新作のレコーディングなどもしているようだけれど。

ここ数年、超マニアックなインディ・レーベル、アシッド・ジャズ・レコードが彼の作品群の再発にいそしんでいて。本作もそんな流れで出た1枚。ここまで書き連ねた通り、実に多様な形で音楽シーンに関わってきたグレアム・ディーの功績をざっくり振り返るアンソロジーだ。

収録されている全12曲中、グレアム・ディー名義の音源が半分の6曲。うち4曲が1978年にリリースされたソロ・アルバム、かつて日本でもCDリリースされたことがある『サムシン・エルス』からのものだ。とはいえ、別ヴァージョンみたいなやつも入っているので油断できない。どの曲も、独自の、押しつけがましくないブルー・アイド・ソウル風味満点で実に心地よい。

残る2曲のうち、ラテン・グルーヴで聞かせる「サンパギタ」(今回のクレジットでは「サンバギタ」になっているようだけれど)は去年の11月に出たアシッド・ジャズのコンピ『AJX500』で初お目見えした未発表曲。もうひとつの「キャリー」ってのは、ぼくは今回初めて聞いた。アヴェレイジ・ホワイト・バンドというか、ネッド・ドヒニーというか、そういう感触も。

で、残り半分が、グレアム・ディーがスタッフとして絡んだ楽曲群。マキシン「ア・ラヴ・アイ・ビリーヴ・イン」のホーン入りヴァージョン、マイク・ベリー「ソウシル・ライド」の別ミックス、レニー・ホワイト「キャント・ストップ・シンキング・アバウト・ガールズ」、ミックズ・バンチ「アイ・ジャスト・ウォナ・ビー・ユア・フレンド」(カート・ベッチャー作の同名傑作曲とは別曲)、トニー・リヴァース「トゥモロウズ・チルドレン」、レイザー「イッツ・ア・ハード・ウェイ・バット・イッツ・マイ・ウェイ」。

この中ではブライアン・ウィルソン〜ビーチ・ボーイズ色が匂い立つトニー・リヴァースとか、サンシャイン・ポップっぽい感触も漂うミックズ・バンチとかのトラックがやっぱいいっすね。再評価の機運、盛り上がるかな。

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