ミシシッピー・バーベキュー/ザック・ハーモン
1970年代末、18歳のころにZ.Z.ヒルやドロシー・ムーアのバックでギターを弾くようになったのをきっかけに売れっ子セッション・ミュージシャン〜ソングライターとして大活躍するようになったザック・ハーモン。
21世紀に入り、40歳を過ぎてから遅咲きのソロ・デビュー。ぐっとブルース寄りのフィールドで躍動的な歌とギターを聞かせるようになったのだけれど。けっして伝統にのみ縛られるわけではない、ファンキーなアプローチが随所に盛り込まれていて。アルバムが出るたびに盛り上がらせてもらってきた。国内盤も出た2015年の『ライト・マン・ライト・ナウ』とか、ボビー・ラッシュ、ラッキー・ピターソン、マイク・フィニガンらをゲストに迎え、鋭い切れ味と痛快なグルーヴをプレゼントしてくれたものだ。
そんなザックさんが、より一層、持ち味をファンキー&メロウっぽい方向へと寄せつつ完成させたのが今回紹介するニュー・アルバム『ミシシッピー・バーベキュー』だ。たぶんソロ7作目。サンタナ、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ジョージ・サラグッド、タワー・オヴ・パワーなどとの仕事でもおなじみ、グラミー・ウィナーでもあるベテラン、ジミー・ゲインズをプロデューサーに迎え、ボブ・トレンチャード率いるザ・レイズがバックアップしたアルバムということで、2017年のジョニー・ロウルズによる『ウェイティング・フォー・ザ・トレイン』あたりを想起させる1枚だ。ボブ・ディラン作品を1曲カヴァー(「ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア」)しているのも同趣向。ごきげん!
そんなディラン作品のほか、「ロード・セイヴ・ミー・フロム・LA」はケイケイ&ザ・レイズのレパートリー。アルバムのオープニング・チューン「ジプシー・ロード」はトレイ・ハーディン&サンディ・キャロル作。残る大半がボブ・トレンチャードとザックとの共作曲だ。ふたりが共作したアルバム・タイトル・チューンのメロウ気味な肌触りとか、なかなかに新鮮。シミキア・コープランドとかにいい曲書いているジョン・ハーンとの共作「メイキング・ア・ダラー・アウト・オヴ・フィフティーン・センツ」あたりの、のびのびとファンキーなノリも楽しいです。
ちなみに、次回CRTのお知らせも更新しました。PCでご覧になっている方は右のサイド・バーから、スマホの方は下のほうにスクロールして、詳細チェックしてください。夏なんで。ヨット・ロックやります(笑)。といっても、CRTですから。CRTらしい、ゆるーい切り口でのヨット・ロック。ライトなオールディーズとしてのヨット・ロック。ヨット・ロック本の翻訳を手がけた奥田祐士くんをお迎えして盛り上がります。いい曲いっぱいかかる予定。下のザック・ハーモンのビデオ・クリップみたいな感じでビールをおいしく飲みましょう!