アイ・トロール・ザ・メガヘルツ/プリファブ・スプラウト
2月くらいに再発された盤だけれど。昨日、Spotifyのリコメンド・プレイリストを聞きながらウォーキングしていたとき、ふと流れてきて、あー、やっぱりこの季節に気持ちいい音だなと感じたもんで(笑)。ちょっとタイミングをはずしつつも、とりあえずご紹介。
プリファブ・スプラウトが曲折を経て中心メンバーであるパディ・マクアルーンのソロ・プロジェクト化してしまった時期、2003年にマクアルーンのソロ名義でリバティ・レコードからリリースされた作品だ。このほどていねいなリマスターがほどこされ、ジャケットも大きく変更されて、ソニーUKからめでたくプリファブ・スプラウト名義での再発が実現した。
といっても、歌入りは1曲のみ。基本的には管弦をふんだんに交えたインストゥルメンタル作品だ。曲によってイヴォンヌ・コナーズのナレーション、あるいはテレビやラジオで交わされる会話のサンプルなどがイマジネイティヴに音像に重なる。当時、網膜剥離で闘病中だったマクアルーンの心象風景が綴られたものだとか。静謐な音像がしみる。
クラシック、特に現代音楽との関連性を強調する受け止め方もあるようだが、マクアルーンお得意の架空の映画のサウンドトラック・アルバムというストレートな解釈の下、素直に接したほうが本作の真意を感知しやすい気もする。いずれにせよ、20分超えの表題曲すら飽きさせずに聞かせる鉄壁の構成力には舌を巻くしかない。やっぱこの人、すごいソングライターです。
今年の9月リリースを目指して新作のレコーディングにもとりかかっているとの噂。楽しみ。