Disc Review

Take Me to the River: A Southern Soul Story 1961-1977 / Various Artists (Kent U.K.)

テイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー〜ア・サザン・ソウル・ストーリー1961〜1977

ぼくが大学に通っていたころだから、すでに30年以上前の話になるけれど。ヴィヴィドサウンドがサザン・ソウルの名門レーベル“ゴールドワックス”の配給権をゲットして国内リリースしたジェイムス・カーとオヴェイションズ、そしてスペンサー・ウィギンスのLPは、ぼくにとってかなりの衝撃だった。それまでもスタックス/アトランティック系を中心に、いろいろその筋のソウル・シンガーの歌声を楽しんできてはいたのだけれど。あのときをきっかけに、さらに深く入り込むようになったというか。ローカル・レーベルからシングルしか出していないアーティストが多いこともあって、当時はまだまだ入手困難だったそれ系のシングル盤を探しまくる日々が始まってしまったというか。金がかかりまくる音楽人生になっちゃったというか…。

まじ、サザン・ソウルとドゥ・ワップはいけません(笑)。1曲好きだと、全部好き、みたいな。底なし沼。まあ、それだけ魅力的な音楽だってことではありますが。

そんなサザン・ソウルの名演・名唱をコンパイルした3枚組がこれ。もちろん、サザン・ソウルとひとくちに言っても広義に解釈すればとんでもない幅になる。CD3枚じゃとても網羅しきれない。ということで、編纂者は自らルールを課している。南部と言ってもアリゾナものとテキサスものは毛色が違うということで除外。テネシー、フロリダ、アラバマ、ルイジアナ、ミシシッピ、ジョージアものだけで構成されている。ただしルイジアナとはいえ、ニューオリンズものはやはり除外。オーティス・レディング、ジェームス・カー、ウィリアム・ベルといった一部の偉大なシンガー以外は基本的に1アーティスト1曲。納得のルールだ。

こうした制約の下で勢揃いした75曲。ブロードウェイ・サウンド/クインヴィ、ロイヤル、スタックス、マッスル・ショールズ・サウンド、クリテリア、フェイムといった名門スタジオを舞台に、60年代初頭、ブルース、ゴスペル、そして時にはカントリーなど、南部ならではのルーツ音楽の要素を絶妙にブレンドしながら、やがてサザン・ソウルと呼ばれるようになるハードなR&Bスタイルが芽生え、60年代半ばに大きく成長し、より洗練されたサウンドが一般的になった60年代末以降もそのごつごつした持ち味を失わなかった…と。そんな熱い熱い歴史を年代順にたどり直せる3枚組です。72ページの豪華ブックレット付き。胸しめつけられます。感涙ものです。

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