Disc Review

Oh, My Nola / Harry Connick, Jr. (Columbia)

オー、マイ・ノラ/ハリー・コニック・ジュニア

ハリー・コニック・ジュニアの新作です。けっこうアメリカでは売れているみたい。

この人、デビュー直後からノージが大注目していて。のべつ家で聞いていたもんで、ぼくもその音のおこぼれをちょうだいしながら楽しんできたのだけれど。ビッグ・バンドを率いてフランク・シナトラ~ボビー・ダーリンの線を現代に甦らせようとしていた時期を経て、ファンク~フュージョンの色合いを強めた時期があって、俳優としてかなりやばい役にまで挑戦していた時期があって、またスタンダード曲方面にシフトチェンジした時期があって…。それなりの曲折はあるものの、独特のクールなたたずまいと、幼いころから身体にしたためたジャジーな音楽性は一貫していて。新作を出すたび、気になり続けている存在ではあります。

ハリケーン・カトリーナに襲われた自らの故郷ニューオリンズに対して、真っ先に救いの手を差し伸べたひとりとしてもおなじみだと思うけれど。そんな流れを受けてか、この新作、全編ニューオリンズの香りがあふれる実にいい仕上がりだ。New Orleans, Louisiana。ルイジアナの略称は "LA" なので、New Orleans, LA で、NOLA。

といってもニューオリンズの惨状を嘆く内容ではなく、ニューオリンズという全米屈指のミュージック・シティに渦巻く――とともに、ニューオリンズで育ったハリーの身体の中にしっかりと渦巻く――多彩な音楽的躍動を、伝統に対する敬愛たっぷりのオレ流で一気に集大成してみせる。

リー・ドーシー、アラン・トゥーサン、クリス・ケナー、アルヴィン・ロビンソン、デイヴ・バーソロミュー、ルイ・アームストロング、シドニー・ベシェ、ドクター・ジョン、W.C.ハンディ、マヘリア・ジャクソンなどなど、ニューオリンズが輩出したジャズやR&Bの偉大な先達ゆかりの曲を中心に、ちょっとだけオリジナル曲を交えての1枚。ごきげんなピアノ・プレイもそこそこフィーチャーして。のびのび聞かせる。

サッチモやマヘリアの思い出が、ぼくの中で今も安全に生き続けていることを誇りに思う。オー、マイ・ノラ。高いマグノリアの木のように、古くて、正しくて、強い。その木陰に身を置こう。ここがぼくのいるべき場所。オー、マイ・ニューオリンズ。ぼくを待っていてくれ…という(ふうにぼくの耳には聞こえた)自作タイトル曲の歌詞がぐっと来ました。

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