ジャスト・ザ・ライト・サウンド:ジ・アソシエーション・アンソロジー/アソシエーション
ロフトプラスワンでのCRT/レココレ・イベント、3月21日のナイアガラまつりを終えて。例年のごとくとても楽しい夜になったわけですが。まあ、個人的には今ひとつ燃え尽きることができず、いろいろと自らの力のなさを痛感したり…。もやもやが残ったりして。こりゃ、しばらく尾を引くかなぁと思っていたのだけれど。
全然、引きませんでした。まじ。その2日後、東京・有楽町の国際フォーラムAでチャック・ベリーとジェームス・ブラウンのジョイント・コンサートを見ちゃったもんで。これで全部、吹き飛んだね。すごかったもん。
そう。すごかった。そうとしか言いようがない。よかったんだか、ひどかったんだか。かっこよかったんだか、悪かったんだか。もう全然わかんないくらい、すごかった。圧倒的だった。レコード・コレクターズ誌の連載コラムにも書いたので、こちらではあまり詳しくは触れませんが。要するに、ふたりとも徹底的に勝手で。でも、それは彼らの長いキャリアと奥深い才能と図太い芸能根性に裏打ちされた勝手さで。ただ単にステージでわがまま放題というのではなく、俺がギター弾いて歌えばすべてがロックンロールなんだとか、俺がシャウトしてステップ踏めばすべてがファンクなんだとか、ごたごた論議を必要としない、オリジネイターならではの神々しい絶対的オーラのようなものがぐんぐん客席に伝わってくる、そういう勝手さというか。
盛り上がったなぁ。頬がゆるみっぱなしだった。あと、26日だったかな、渋谷クアトロに見に行ったバン・バン・バザールもごきげんで。もちろん、チャック・ベリーとかJBに比べたらちっぽけな(あ、ごめんね)存在ってことになっちゃうんだろうけど、こちらもずいぶんと精神的な意味合いで“乱暴に”スウィングしまくっていて。こちらはオリジネイターならではの圧倒的なパワーというのではなく、絶対的なルーツに対する深い敬愛と、別の国の別の世代ならではの狼藉ぶりとがぐっちゃぐちゃに相まみえるカタルシスというか。その辺が痛快でねー。このライヴにもずいぶんと元気づけられた。
とか思っていたら、わがジャイアンツ開幕3連敗とか(笑)。原珍監督の選手起用にミスターの魂が全然受け継がれていないことに(とともに、長嶋院政みたいな状態になっていそうな感触にも)泣けてきたりして。まあ、プロ野球ファンとしては毎試合かなり面白いので、いいんだけどさ。とにかくここんとこ激しいアップダウンですわ。
つーわけで、最近はもっぱらチャック・ベリー系のフィフティーズ・ロックンロールか、ダリアン・サハナジャさんとの尽きることないオタク話によってぼくの中でまた個人的ブームが再燃してしまったガール・グループものか、バン・バン・バザールの遙かなるルーツでもある30年代のウェスタン・スウィングものか…。そんな音楽ばっかり聞いているワタシです。そうだ、以前からよくこのホームページでも紹介してきた(このページの下のほうとか)ホット・クラブ・オヴ・カウタウンの日本編集盤が2枚出て。そのうちウェスタン・スウィング系の楽曲ばかり集めた『イット・ウエスタン』ってやつのライナーも書きました。よかったらゲットしてみてください。
あと、もうひとつ、最近よくCDプレーヤーに乗るのが、確か2月ごろアメリカで出たアソシエーションの2枚組アンソロジーだ。こいつが今回のピック・アルバムです。アソシエーションも気分のアップダウン激しいときには絶好の友だね。今回の2枚組はライノの編纂によるもの。アソシエーションの主要オリジナル・アルバム群に関しては日本の各社再発セクションががんばってボーナスも追加しつつほぼすべてCD化してくれたのだけれど、さすがにライノはさらに一歩突っ込んできた。未発表音源2曲入れて、シングル・ミックスも多用して、詳細なレコーディング・インフォメーションを含むライナーも付けて、音質も磨きをかけて。アソシエーションをめぐる長年の疑問というか、彼らは単にフォーク・ロックとかサイケデリック・ロックとかの“味”だけをうまいこと取り込んだイージー・リスニング・バンドだったのか否か…みたいな部分を再検証するには絶好のアンソロジーじゃないかな。
同じころに同じような趣向で出たタートルズのアンソロジーもよかったです。ライノっていえば、今年は毎年恒例だったポップスおたく度テスト、RMATを実施しないんだとか。淋しいね。
そうそう。でも、ライノからは間もなく4枚組『コンプリート・ラスト・ワルツ』が出るからね。ザ・バンド周辺の音楽が大好きな人はお楽しみに。ぼくはもう音、ゲットしちゃいました。これまでリミッターかかりまくりの音のブートでしか聞けなかったライヴ当日の全貌がついに明らかになりますよ。その辺の話題で盛り上がりたい方は、4月18日に新宿ロフトプラスワンに集合ですよ!