Disc Review

West of Broadway / Rachael & Vilray (Concord)

ウェスト・オヴ・ブロードウェイ/レイチェル&ヴィルレイ

これは、もう、全面的にノージくん案件というか。2019年にノンサッチ・レコードからファースト・アルバムが出て以来、もうずっとノージくんが大好きで追いかけ続けているデュオの新作です。

もちろんノージくんはアナログを注文ずみ。ブツはまだ届いていないようですが。でも、配信は先週の金曜にスタート。なので、ブツの到着を待たずストリーミングでよく聞いていて。ぼくもおこぼれで耳を傾けつつ、すっかりいい気分に浸っております。

とてつもない幅をたたえた豊かな歌心が、まじありえない、レイク・ストリート・ダイヴの歌姫、レイチェル・プライスさんと、君はいったいいつの時代からやって来たの? と言いたくなるようなシンガー/ギタリスト/ソングライターのヴィルレイ・ブレア・ボレスさんによる魅惑的なデュオの3作目。今回はノンサッチを離れてコンコードへと移籍してのリリースです。

全10曲中9曲がヴィルレイさんのオリジナル曲で。なんともシニカルで、ねじれたユーモアをたたえた歌詞を、グレイト・アメリカン・ソングブック的な肌触り全開のメロディに乗せた持ち味は今回も全開。残る1曲、ハリー・ジェイムス楽団(ヴォーカルはヘレン・フォレスト)とかトミー・ドーシー楽団(ヴォーカルはジョー・スタッフォード)などでおなじみの「マンハッタン・セレナーデ」のみカヴァーです。

ダン・ノブラーがプロデュース。ジェイコブ・ジママンが編曲。3管か4管をフィーチャーしたビッグ・コンボが奏でる往年のウェストコースト・ジャズ的なアンサンブルをバックに、レイチェルが歌声を軽やかに舞わせ、ヴィルレイがギターと歌でごきげんにスウィングする…と。

もう最強でしょう。この上なし。アルバム・タイトルは“ブロードウェイの西”という文字通りの意味ではなく、東のブロードウェイと西のウェストコースト・ジャズとの幸福な合体…的なニュアンスもこめられているみたい。

「オフ・ブロードウェイ」って曲には、今、むちゃくちゃな米政権下、大変な荒波に否応なく巻き込まれている感じのスティーヴン・コルベアも客演。自身のレイト・ショーで披露していたように、ここでも二人と歌声を重ねている。

こういう米国音楽、ずっとずっと受け継がれ生き続けてほしいものです。ちなみに、ひとつ前のアルバムについてのエントリーはこちら。ノージくんの自警団新聞へのリンクもあります。

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