
ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ(ザ・ソングス)/ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ
プログレ弱者のハギワラですが。
まあ、プログレが苦手だったとはいえ、1960年代末から70年代アタマを中学生から高校生という感じで過ごしていたわけで。いろいろ流れでプログレ体験はしている。アフロディーテのピンク・フロイドも見たし、後楽園球場のエマーソン・レイク&パーマーも見たし。
学校でも、やっぱり友達の中にはプログレ好きがいたから。そういうやつとレコードの貸し借りして、ムーディ・ブルースとかキング・クリムゾンとかイエスとか、いろいろ聞いてはいたのだけれど。結局、プログレの勘所がつかめずじまいで、そのまま現在に至ってしまいましたよ。
ただ、そんな中、いくつかぐっとくるアルバムもあって。そのひとつがこのほど最新エディションが再発された『ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ(The Cheerful Insanity of Giles Giles & Fripp)』。これがキング・クリムゾンの前身で、『クリムゾン・キングの宮殿(In The Court Of The Crimson King)』の1年前、1968年に出たものだという情報とともに、だいぶ後になってキング・レコードから出たLPを借りたんだっけ。1973年くらいだったかな。
でもこれ、ぼくはけっこう気に入ったというか。プログレとかいう感じじゃなく、1960年代後半のサンシャイン・ポップ系というか、ポップ・サイケデリア系というか、そういう感じで。ぼくみたいなアホアホなポップス・ファンにも親しみやすく、その後、70年代半ばにかけて、モンティ・パイソンとかボンゾ・ドッグとか、ああいうものたちと一緒くたにしながらけっこうハマったものです。
「リトル・チルドレン」とか「木曜日の朝(Thursday Morning)」とか「ハウ・ドゥ・ゼイ・ノウ」とか、けっこう好きだったなぁ。そういえば、ピンク・フロイドの初期とか、イエスの初期とか、どれもいわゆるプログレって感じではなく、フォーク・ロックの文脈でも楽しめるものだったりして。ぼくにとってはそれと同じ感触だったのかも。
ただ、曲の合間合間に朗読が入ってたでしょ。A面のほうには「ロドニー・トーデイ物語」、B面のほうには「ジャスト・ジョージ」。けっこう何カ所も。というか、まあ、実はそっちのほうが全体を貫く大きなテーマなのかもしれなくて。曲の合間に朗読が入っているのではなく、もしかしたら朗読の合間に曲を散りばめた、みたいな? そういうコンセプト・アルバムなのかもしれないのだけれど。
これがね。落ち着きのない高校生だったぼくには、なんともなじめず。なので、友達から借りたLPをカセットに録音して聞いていたものの、だんだんめんどくさくなってきて。もう一回LP借りて、今度はその朗読パートを全部抜いてカセットに録って(笑)。それで曲だけ楽しんでいたりしました。LP貸してくれた友達からは、「ハギワラ、お前、それじゃこの作品の真価を味わっていることにならないんだぞ!」とか怒られたものです。
ところが半世紀を経て、ぼくのカセットみたいに朗読パートを外した『ジャイルズ、ジャイルズ&フリップ』が出ましたよ! それも、なんとロバート・フリップ承認マスターでの発売。朗読パートを全部カットして、音楽部分だけを収録したものだ。なもんで、タイトルに“(ザ・ソングズ)”という副題が付けられた。
まさにぼくがその昔聞いていたカセットみたいな構成で。うれしく、懐かしい。ただ、ぼくは朗読パートと一緒にカットしちゃっていた「クラスター」とか、こちらにはちゃんと入ってます。勝手にカットしちゃってすみませんでした(笑)。やっぱりぼくはこの作品の何たるかを結局わかっていなかったってことか。
LP貸してくれた友達、どうしてるかな。この再発CDも買うかな。