Blog Disc Review

New Song “Ghosts” and more… / Bruce Springsteen

新曲「ゴースツ」と、1984年のライヴ盤のことなど/ブルース・スプリングスティーン

やー、今日リリースの話題盤ってことなら、やっぱプリンスだよねぇ。『サイン・オブ・ザ・タイムズ』のスーパー・デラックス・エディション。音だけはストリーミングもされているし。ただ、Spotifyで見たら“92曲、8時間2分”って書いてあった(笑)。CDだと8枚分。フィジカルだとそこにDVDまで付いてくる。圧倒的なボリューム。昨深夜0時に公開されたばかりで、当然ながらまだまだ聞ききれているわけもなく。なので、これはまた後日。

今日のところは同じくらいやばいやつを、ひとつ、ふたつ。

ボス。ブルース・スプリングスティーン。10月23日に発売されるニュー・アルバム『レター・トゥ・ユー』の表題曲が先行シングルとして公開されたのが2週間くらい前。本ブログでも大騒ぎさせてもらいましたが。次なる先行シングルが早くも公開になった。

今回、出たのは「ゴースツ」。前に公開された「レター・トゥ・ユー」のビデオ・クリップの冒頭、ミキシング・コンソールに貼るマーキング・テープの映像が映るのだけれど、そこにもタイトルが記されていた曲で。Eストリート・バンドとのバンド・サウンドが炸裂するタイプのロックンロール。

他界してしまったバンド仲間、クラレンス・クレモンズやダニー・フェデリシへの思いも含めて、ひとつのグループとしてともに歩むことの喜びや、仲間を亡くす喪失感や、それでも亡くした仲間たちの魂をも背負って歩んでゆくしかないという決意や…そういった熱い思いが託された1曲だ。

いやいや、まいった。なんだ、この小出し感。じわじわくる。去年の『ウエスタン・スターズ』のときもそうだったけど、これが2週間ごとに10月23日まで続くのかな。それはそれで盛り上がるような。逆にもどかしいような。いずれにしても10月が待ち遠しい!

Brendan Byrne Arena, East Rutherford, NJ (August 06, 1984) / Bruce Springsteen & The E Street Band (Live.BruceSpringsteen.Net)

で、スプリングスティーン&Eストリート・バンドからはもうひとつ。いつものlive.brucespringsteen.netで、1984年の『ボーン・イン・ザ・USA』ツアーの模様を収めた『ブレンダン・バーン・アリーナ、イースト・ラザフォード、ニュージャージー』が出た。このツアーのライヴ音源としては、live.brucsspringsteen.netですでに8月5日8月20日、地元ニュージャージーのブレンダン・バーン・アリーナ(メドウランズ・アリーナ)における連続公演の初日と最終日のものがリリースずみなのだけれど、今回出たのは2日目、8月6日の音源だ。

このツアーでのスプリングスティーンは日によって曲目をちょいちょい入れ替えていて。この6日のセットリストは熱心なファンが“Bセット”とか“オルタナティヴ・セット”と呼んでいるほうのやつ。ファースト・セットの『ネブラスカ』コーナーやアンコールでの選曲がけっこう違う。アンコールで「ツイスト・アンド・シャウト」の間に挟み込まれてちらっと歌われるコントゥアーズのカヴァー「ドゥ・ユー・ラヴ・ミー」も含めれば初日5日のセットリストと変更されたものが9曲。

いちばんのサプライズはアンコールで、「明日なき暴走(Born To Run)」のエンディングの打のばしから間髪入れずになだれ込むローリング・ストーンズの「ストリート・ファイティング・マン」のカヴァーか。

本編のほうでは、初日のセットリストにはなかった「オープン・オール・ナイト」の弾き語りが印象的。これ、live.brucsspringsteen.netでリリースされたアーカイヴ・シリーズ中、同曲のもっとも古いパフォーマンスってことになるのかも。「ネブラスカ」も演奏されていて、これも同様にアーカイヴ・シリーズ中、最古っぽいけれど、パフォーマンス自体は『ライヴ1975-85』に収められて既出のものの新ミックスだ。

ちなみに、『ライヴ1975-85』に収められた同日の弾き語り系パフォーマンスとしてはセカンド・セットの「ノー・サレンダー」も。1984年の音源として『ライヴ1975-85』に2曲セレクトされている公演はこの8月6日のみ。それだけこの夜のスプリングスティーンの歌声が素晴らしかったということかも。もちろんバンドの演奏も相変わらずぶっとくごきげんだし。そういう意味でも、見逃せないリリースだ。

加えて、この『ボーン・イン・ザ・USA』ツアーの流れで翌1985年4月、初の来日公演が実現することになるわけで。日本のファンにとってもとてつもなく思い出深いツアーだ。あのとき、ぼくは東京・国立代々木競技場第一体育館に3回通った。で、たぶんその場に駆けつけた全ての人と同じく、とにかく徹底的に圧倒されたものだ。考えてみれば、日本で見ることができたボス&Eストリート・バンドのフル・コンサートって、今のところ、あのときだけなんだよなぁ…。

まあ、若干ひやひやした瞬間ってのもあって。初日、アンコールでジョン・フォガティの「ロッキン・オール・オーヴァー・ザ・ワールド」をやったとき、サビでバッと演奏をブレイクして代々木体育館を埋め尽くした観客に歌わせようとしたものの、日本では「ロッキン・オール・オーヴァー・ザ・ワールド」ってほとんど知られていなかったようで。演奏がブレイクしたあと、会場がシーン…としちゃって(笑)。

いやー、ひやひやした。あれが4月10日かな? そのあと13日と16日にも見に行ったけど、そのときはもう「ロッキン・オール・オーヴァー・ザ・ワールド」はセットリストから消え失せてました。懐かしい…。

と、そんな日本公演へとつながる『ボーン・イン・ザ・USA』ツアーのニュージャージー公演の記録。日本公演同様、リトル・スティーヴンの脱退期で、ニルス・ロフグレンが新加入したラインアップでのパフォーマンスだ。ということで、顔ぶれはスプリングスティーンのほか、ロイ・ビタン(キーボード)、クラレンス・クレモンズ(サックス)、ダニー・フェデリシ(キーボード)、ニルス・ロフグレン(ギター)、パティ・スキャルファ(ギター)、ギャリー・タレント(ベース)、マックス・ワインバーグ(ドラム)。名前を書き連ねているだけで燃えます。

『レター・トゥ・ユー』をひっさげてのツアーってのも、あるのかなぁ。このご時世、先のことはまったくわからないけど。日本でボス&Eストリート・バンドのフル・コンサートをまた見ることができる日って、来るんだろうか。実現すれば、本当に幸せなのだけれど…。

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