
ルーム・オン・ザ・ポーチ/タジ・マハール & ケブ・モ
スケジュール渋滞状態、あまり解消できてはいませんが。かっこいいアルバムも次々出てくるので、みなさんと分かち合いたくて。ペースはこれまで同様とはいかないものの、イレギュラーなペースでちょこちょこ更新していきますね。
お知らせしたいイベントもあるし。
この夏、朝日カルチャーセンターで能地祐子とふたりでボブ・ディラン講座、やらせていただきます。ここでは去年、ノージくんが奥田佳道先生とドゥダメルやマケラなど若手指揮者を紹介する講座をやっていて。すごく面白くて。その好評に乗っかる形でぼくも参加させていただく…みたいな?
今回のテーマは前述の通り、ディランです。“映画の中のボブ・ディラン”ってことで。6月にディズニー+で配信も始まるという『名もなき者』を筆頭に、2007年の『アイム・ノット・ゼア』や2013年の『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』みたいに、ディランを誰か他の役者さんが演じたものとか、2003年の『ボブ・ディランの頭のなか』から1978年の『レナルド&クララ』、1973年の『ビリー・ザ・キッド』まで、本人が出演しているフィクションものとか、もろもろのドキュメンタリーとか…。
あと、ディランが主題歌を担った2000年の『ワンダー・ボーイズ』もいろいろな面でディラン・ヒストリーにとって重要な一作だったりするし。映画というメディアを通して、ディランの多面性みたいなものをあれこれ深掘りしていければいいかなーと思っています。
日時は2025年7月29日(火)の18:30~20:00。教室で対面での講座の他、オンラインでの受講もできるみたいです。ご興味ある方、お時間許すようでしたら以下のURLから詳細ご確認のうえ、ぜひご参加ください。
と、長めの告知を終えたところで、ニュー・リリース紹介ですが。まさかの“タジモ”! タジ・マハール+ケブ・モ。世代を超えた偉大なブルース・マスターどうしの共演盤。8年ぶりの続編、出ました。
グラミーも獲った前作、2017年の『タジモ』の感触はそのまま、タジさんとケブさんが共作したオリジナル曲を中心に、ヴィンテージ・ブルースのカヴァーもちょこっと交えつつの全10曲。タジさん、ヴォーカル以外にもウクレレ弾いたり、レゾネーター・ギター弾いたり。ケブさんはアコースティック・ギター、エレクトリック・ギター、バンジョー、マンドリン、スティール・ドラム、ハーモニカ、パーカッションなど、大活躍。アルバム・タイトル通り、ポーチでリラックスしたムードで歌声と演奏を交わしながら、その10曲にブラック・アメリカン・ミュージックの長き旅をさりげなく織り込んでいくような、そんな1枚。
アリシア・キーズやブランディ・カーライルとのコラボでもおなじみ、ガーナ出身、現在はナッシュヴィルを本拠に活躍するルビー・アマンフをゲストに迎えた表題曲で幕開け。これ一発で、もう傑作。で、ケブ・モが奏でるバンジョーが軽快な「マイ・ダーリン・マイ・ディア」を挟んで、ベッシー・スミスやニーナ・シモンをはじめ多くのアーティストがこぞってカヴァーしてきた「誰も知らない(Nobody Knows You When You're Down and Out)」へ。これ、女性コーラス従えた二人のヴォーカルのやりとりも熱く、今回のヴァージョン、なかなかに強力な仕上がりかも。ケブ・モのギター・ソロも渋い。
キャッチーなブギ・シャッフル「シー・キープス・ムーヴィング」には共作者のひとり、ジョン・オーツもコーラスで参加しているし、ナッシュヴィルのシンガー・ソングライター、マイア・シャープの2021年作品をカヴァーした「ジャンクヤード・ドッグ」はデヴィッド・ロジャースのハモンド・オルガンがごきげんだし、ウェンディ・モートンをゲスト・ヴォーカルに迎えた「ベター・ザン・エヴァー」の作者にはコリン・リンデンも名を連ねているし。
いろいろ気になる曲がずらり。ナッシュヴィルを皮切りに6月にかけてツアーもスタートしたみたい。こういうの、見たいなぁ…。