
ストライク・アップ・ザ・バンド/リトル・フィート
出ましたー! リトル・フィートのニュー・アルバム『ストライク・アップ・ザ・バンド』。ちょうど1年ほど前、本ブログでも前作『サムズ・プレイス』を取り上げたけれど——
あれはパーカッションのサム・クレイトンのヴォーカルをフィーチャーしたブルースのカヴァーがメインの1枚で。それに対して今回はカヴァーなし。オリジナル曲メインのアルバムとしては2012年の『ルースター・ラグ』以来、13年ぶりとなる。
リトル・フィートがローウェル・ジョージの脱退〜他界を受け、アルバム『ダウン・オン・ザ・ファーム』を最後にいったん解散したのが1979年で。その後、再結成アルバム『レット・イット・ロール』を出したのが9年後の1988年。これがこれまではいちばん長いブランクだったわけだけど。
以降、『ルースター・ラグ』が出た2012年まで、最低でも4〜5年の間隔で着実にオリジナル・アルバムのリリースを重ねてきて。しかし、今回は13年ぶり。こんなに空いたのは彼らにとって異例。最長のブランクを埋める1枚ってこととあいなった。うれしい。
ローウェル・ジョージのワン・ギター体制でスタートしたフィート。その後、1973年にポール・バレアが加入してツー・トップに。が、ローウェルが脱退して解散。1987年に再結成してからはローウェルの穴をフレッド・タケットが埋めるようになって。2019年、ポールが亡くなってからは、元グレッグ・オールマン・バンドのスコット・シャラードが加入。2009年から2010年にかけて、ドラムのリッチー・ヘイワード脱退〜他界後は、まずゲイブ・フォードが10年ほど支えて、さらに2020年からはトニー・リオーネに代わって。
つまり今のフィートは、ビル・ペイン(キーボード、ヴォーカル)、サム・クレイトン(パーカッション)、ケニー・グラッドニー(ベース)という古株組に加えて、途中加入のフレッド・タケット(ギター、マンドリン)、新加入のスコット・シャラード(ギター、ヴォーカル)とトニー・リオーネ(ドラム)という顔ぶれ。ぎりDNAは保たれてる感じのこの新編成で初めてレコーディングされたのが前カヴァー作『サムズ・プレイス』で。あれで肩ならしを終えて、いよいよこれ、と。そういう流れだ。
ビル・ペインとヴァンス・パウエル(フィッシュ、クリス・ステイプルトン、ジャック・ホワイトらとの仕事でおなじみ)が共同プロデュース。ナッシュヴィルのブラックバード・スタジオと、ニューヨーク・ハーレムのスタジオ・ワンツーセヴンでレコーディングされた。
ホーン・セクションが大幅に導入されている他、ラーキン・ポーやモリー・タトルらも曲によって客演。ラーキン・ポーはコーラスだけかな。モリーは味わい深いアコギのオブリを披露。夫婦デュオ、ラリー・キャンベル&テレサ・ウィリアムスもコーラスで参加してます。本ブログの常連さんたち総出(笑)って感じでアルバムに彩りを加えている。
全13曲。曲を書いているのはペインとシャラードが中心。タケットも一部。ロバート・ハンターも1曲ペインと共作。全曲サイコー! みたいな感じでは正直ないので、数曲削ってシェイプアップすればもっと…とも思うけど。ただ、なんたって13年ぶりだからなぁ。思いも積もり積もってたに違いない。まあ、どの曲もファンキーだったり、セカンドライン・グルーヴを伴っていたり、ケイジャン風味が漂っていたり、ブルージーだったり、ちょいジャジーだったり。要するにかなりの割合でちゃんとリトル・フィートしてくれていて。だから満足です。ほぼ(笑)。
ちなみに今月21日のCRTはリトル・フィートまつり。この新作も含めてフィート・サウンドの底力をたっぷり満喫する予定です。おかげさまで1階席はソールドアウト。追加で2階席の予約もスタートさせていただきました。お時間ある方、よろしければぜひ。フィートならではの音世界をみんなで堪能しましょう。浴びましょう。