
ホワッツ・ザ・マター、M・ロス?/M・ロス・パーキンス
3年くらい前、本ブログでも紹介したことがある米オハイオ州デイトン出身のパワー・ポッパー/シンガー・ソングライター、M・ロス・パーキンス。
久々の新作フル・アルバム、出ました。3作目。今回も地元オハイオのコールマイン・レコード傘下のカーマ・チーフからのリリース。前作同様、パーキンスが自宅スタジオで作曲、演奏、録音のすべてをひとりで手がけた1枚だ。
楽曲的にはジャングリーなパワー・ポップあり、フォーク・バラードあり、ボサ・ノヴァあり、カントリー・ロックあり。ラズベリーズ、バッドフィンガーからティーンエイジ・ファンクラブ、ハリー・ニルソン、エミット・ローズ、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、バーズ、グラム・パーソンズ、ジョナサン・リッチマンなど、多彩な名前が脳裏をかすめる仕上がりなのだけれど。
随所に「Saccade I~IV」という短いインタールードが挿入されていて。そこでは“What’s the matter with him?”という問いかけが何度も何度も繰り返しなされる。“彼はいったいどうした?”という日本語による問いかけも…。そんなふうにある種、自己風刺的な目線をたたえつつ、歌詞的には内省的な色合いを強めた1枚。現代の日常の滑稽さ、自身の不器用さなどをシニカルに綴っている。でも基本、手触りはポジティヴで。最終的に、愛すべき楽観こそがこの人の魅力です。