ウィーヴ・オンリー・ジャスト・ビガン:ザ・ポール・ウィリアムス・ソングブック/ヴァリアス・アーティスツ
今年もよろしくお願いします。
というわけでブログの更新再開ですが。年末年始、まだまだずっと忙しくて。というか、トシとって仕事のペースがずいぶんと遅くなったというか(笑)。そのせいであまりニュー・リリースも聞くこともできず。とりあえずは去年リリースされたものの中から、タイミングが合わずに本ブログで紹介できなかった盤をまずは軽めに取り上げておこうかなと思います。
去年の夏ごろ出たコンピです。半年以上前かな。
ストリーミング時代のコンピレーションCDってのはけっこう微妙な存在になりつつあるのかもしれなくて。2025年、そのあたりどうなっていくのか、ちょっと不安なような、楽しみなような…。
まあ、お手盛りの、テキトーなコンピはストリーミングに取って代わられて淘汰されちゃえばいいと思うものの、米ライノ・レコードとか、英チェリー・レッド傘下の各レーベルとか、豪ティーンズヴィルとか、そのあたりが1本筋の通ったコンセプトの下で編むコンピにはふんばってほしいものだと心から思います。
あと、英エイス・レコードね。ここもがんばってる。頭が下がります。というわけで、ご紹介するのはエイスから去年の7月だったか8月だったかに出ていたポール・ウィリアムスの作品集。お正月に原稿書きながら改めてちょこちょこ聞いてました。エイスがずっと続けている“ソングライター・シリーズ”の一環で。編纂したのは、エイスでいろいろ充実した仕事をしてくれているセイント・エティエンヌのボブ・スタンリー。
ポール・ウィリアムスの場合、基本的には作詞家なので。ここに収められた全22曲中、単独で作詞作曲の両方を手がけたのはスリー・ドッグ・ナイト「オールド・ファッションド・ラヴ・ソング」、エルヴィス・プレスリー「故郷への道を教えて(Where Do I Go From Here)」、ヘレン・レディ「ホワット・ウッド・ゼイ・セイ」、グレン・キャンベル「アナザー・ファイン・メス」の4曲のみ。
あとはミシェル・コロンビエと書いたスコット・ウォーカー「私に翼を(We Could Be Flying)」、ビフ・ローズが曲を書いて自演した「フィル・ユア・ハート」、チャールズ・フォックスと書いたシールズ&クロフツ「マイ・フェア・シェア」、そしてケニー・アッシャーと書いた超傑作曲、カエルのカーミットが歌う「レインボウ・コネクション」など、多彩な作曲家と組んだ作品群。映画音楽系の曲が多いかな。
そして、ロジャー・ニコルスです。ポール・ウィリアムスと言えば、ご存じの通り、特にロジャー・ニコルスとのコンビでたくさんの名曲を残しているので、今回もウィリアムス&ニコルス作品がたっぷり14曲。
ホーリー・マッケレル「ビター・ハニー」、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オヴ・フレンズ「レッツ・ライド」、ポール・ウィリアムス「ローン・ポニー」など、自分たちがパフォームしたものはもちろん、モンキーズ「サムデイ・マン」、アン・マレー「夜明けの恋(Talk It Over In The Morning)」、ミゲル・リオス「サムバディ・ウェイティング」、アート・ガーファンクル「トラヴェリング・ボーイ」、フォー・キング・カズンズ「アイ・フェル」、ペパーミント・トロリー・カンパニー「トラスト」、サンドパイパーズ「ザ・ドリフター」など名曲がずらり。
で、ウィリアムス&ニコルスといえばカーペンターズなわけですが。カーペンターズの歌声は権利関係とかいろいろあるのか、ここにはひとつも選ばれていなくて。「愛は夢の中に(I Won't Last A Day Without You)」はダイアナ・ロス、「愛のプレリュード(We've Only Just Begun)」はフレディ・アレン、「雨の日と月曜日は(Rainy Days And Mondays)」はフリーダ・ペイン、「あなたの影になりたい(Let Me Be The One)」はペトゥラ・クラークのヴァージョンで収録。とはいえ、実はこっちのほうが録音は古い、みたいなヴァージョンもあるので、そのあたりの選曲センスはさすがです。
“レインボウ”という柔らかい響きの単語と、“コネクション”というある種硬質な響きの単語とをあえて組み合わせて独特の世界観を演出したりするポール・ウィリアムスの作詞家としての才能。改めて味わい直してみるのもよろしいか、と。まあ、半年くらい前の盤ですが…(笑)。ちなみに、エイス・レコードの常で、これもストリーミングはないので、興味があったらぜひフィジカルを。
まだしばらく原稿書きが渋滞気味なので、更新ペースはいつもより遅めになるかもしれませんが、気楽にゆるゆるとやっていきますね。2025年もよろしくお願いします。