ボーン・イン・ザ・ＵＳＡ（40周年記念ジャパン・エディション）／ブルース・スプリングスティーン
昨夜、ニール・ヤングの17CD＋5ブルーレイという、どでか箱『アーカイヴズVol.3』が届いて。いやー、先週末に紹介したディラン＆ザ・バンドの27枚組に続いて、音＋映像の22枚組。むちゃくちゃワクワクしながらも、いったいいつ聞き終わるんだろう…と、遠い目になっている今日このごろ。
そんなところへ、ボスも到来です。『ボーン・イン・ザ・ＵＳＡ（40周年記念ジャパン・エディション）』というずっしり重たい日本独自のCD4枚組。先行しているディランとヤングがとんでもない枚数をたたみかけてきたので、4枚組ってのがやけにかわいく思えたりもするわけですが。
いやいや、内容はこれもごついです。ディスク1に、おなじみ、日本でも特大ヒットを記録したあのモンスター・アルバム、1984年発表の『ボーン・イン・ザ・USA』の、とりあえず現在もっとも新しい2014年リマスター音源を入れて。
で、ディスク2〜4に、このアルバムに合わせて行われたワールド・ツアーの一環として1985年4月に実現した初来日公演の数カ月後、同年8月22日に地元ニュージャージーのジャイアンツ・スタジアムで行われたライヴの模様をまるごと収めて。
これが本4枚組の基本的構成。このライヴのほうは、最近サイトがリニューアルされてログイン方法とかが変わってよくわからなくなってしまった live.brucespringsteen.net のほうでデジタル・ダウンロードだったりCD-Rだったり、いろいろな形式で販売されていたものなので、すでに入手ずみという方もいらっしゃるかとは思う。ぼくもロスレス音源でダウンロードずみだけれど。
今回はそれをオフィシャルなプレスCDで手に入れられるというところがポイント。さらに1984年8月6日、ニュージャージー・ブレンダン・バーン・アリーナでの「レーシング・イン・ザ・ストリート」と「ロザリータ」もボーナス追加されて。初来日時のセットリストにより近くなっている感じ。
というわけで、『ボーン・イン・ザ・USA』リリース40周年と、初来日から来年で40年という節目を祝う日本独自企画。いやー、もう40年か。この来日のときの個人的な記憶はレコード・コレクターズ誌10月号につらつら書かせていただいたので、よろしければそちらをご参照いただきたいのだけれど。
結局、『ボーン・イン・ザ・USA』そのものというより、そのリリースを受けて実現したブルース・スプリングスティーン＆ジ・E・ストリート・バンドの初来日ツアーの思い出に思いきりフォーカスしつつ編まれた4枚組です。なので、付属のオマケも初来日時の告知ポスターのレプリカとか初来日時のオフショットなども含むフォト・ブック（80ページ）とか、来日関連のものばかり。96ページに及ぶブックレットには当時のレコード会社のスタッフの苦労話とかも掲載されていて。まあ、最近、往年の洋楽マンの方々の懐かし話がなにかとトゥー・マッチ気味に思えなくもないけれど(笑)、そうはいっても興味深いエピソード多数。やはり楽しいです。ありがたいです。
ただ、実際に来日公演の音が入っているわけではなく、前述した通り、わりと開催時期が近いニュージャージー公演の音源を使って疑似的に追体験しようという、ある種涙ぐましいセットであることは事実。なので、なんとなく“薄目”でふわーっと接することをおすすめします。
今回お目見えした1985年8月のニュージャージー・ライヴ、いちばんの目玉はこの時期バンドから離脱していて日本ツアーにも不参加だったリトル・スティーヴンが、後半からゲストとしてバンドに合流するところだったりするし。演奏曲目のうち、ぼくが個人的にいちばんぐっときたのは、日本では披露されなかった曲ながら、地元では必ず歌われる必殺の定番カヴァー、トム・ウェイツの「ジャージー・ガール」だったりもする。
そういう意味でも、この40周年記念ジャパン・エディション、無理に日本公演と直結させることなく、『ボーン・イン・ザ・USA』リリース期のスプリングスティーン＆ジ・E・ストリート・バンドの無双ぶりをスタジオ、ライヴ両面から味わう、みたいな。そういう視点から楽しんだほうがたぶん正当に盛り上がる4枚組かも、です。
あ、そういえば、一昨日のことになりますが。ボス、75歳のお誕生日おめでとう！ これからもお元気で！
